住宅の概要に関する基礎知識

枠組壁工法

 枠組壁工法は、床版・屋根版の水平構面と壁面の垂直構面で箱を構成する構造方式である。各構面は枠組材に、構造用合板などの面材を釘打ちまたはビス留めして構成する。(枠組材および構造用合板は、平13国交告第1540号および平13国交告第1541号(以下告示という)の構造部材の種類・規格による)
 地震や風圧力などの水平力に対しては、構造用合板、せっこうボードなどの面材を釘で張りつけた耐力壁によって支える。
 また、この工法は、断面寸法が2インチ×4インチの部材を使うことから、「ツーバイフォー工法」と呼ばれることも多い工法である。
枠組壁工法の特徴は、次の点にある。
使用される木材の断面寸法の種類が少なく、その種類・規格が告示に示されている。
構造部材組立の仕口・継ぎ手が簡単で、釘・金物で緊結する。
現場での生産性が高く、工期を短くすることができる。
耐火性能・断熱性能に優れている。
各部位の名称と役割
① 基礎と土台
基礎(きそ)
上部構造の力を地盤に伝える。住宅の場合、普通は壁の長さ方向に連続させた布基礎が用いられることが多い。
束石(つかいし)
床束の下に設ける石で、上部の床の荷重を地盤に伝える役割をする。
土台(どだい)
基礎の上に設けられる水平材。
アンカーボルト
コンクリートの基礎に土台を緊結させるためのボルト。太さは12mm以上のもので、長さ350mm以上のアンカーボルトまたはこれと同等以上の引張耐力を有し、取付位置は土台の隅角部と継手付近で、その他の部分は間隔2m以内とする。
② 床
大引き(おおびき)
1階床面の荷重を、根太から土台や床束に伝える水平材。
床束(ゆかづか)
束石や独立基礎から直接大引きを支える垂直材。束ともいう。
床根太(ゆかねだ)
床枠組を構成する主要部材。構造用合板などの面材と一体となって床面を構成する。
側根太(がわねだ)
床枠組を構成する部材の一つ。平行に配置された床根太の一番外側の根太。
端根太(はしねだ)
床枠組を構成する部材の一つで、床根太の端部に床根太と直交するよう配置される。
ころび止め(ころびどめ)
床、壁、屋根、各枠組の転倒防止のための補強材。
床梁(ゆかばり)
2階床面の荷重を支え、下階壁に伝える梁。1階床にも床梁を設ける場合もある。
③ 壁
上枠(うわわく)
壁枠組を構成する部材の一つ。たて枠上端を固定し、頭つなぎとともに、床根太、天井根太などを支える壁枠組上部の横架材。
下枠(したわく)
壁枠組を構成する部材の一つ。たて枠、まぐさ受けなどの下端を固定する壁枠組下部の部材。
頭つなぎ(あたまつなぎ)
壁枠組を連結するために、上枠の上に重ねる部材で、面を構成する上での主要な横架材(上枠と同寸)。
たて枠(たてわく)
壁枠組を構成する主要部材。鉛直力を支持する。構造用合板などの面材と一体となり耐力壁を構成する。スタッドともいう。
まぐさ
開口部の上部にある水平材で、開口部上部の荷重をまぐさを介して下部に伝える。
耐力壁(たいりょくへき)
構造体を構成する重要な壁で、鉛直荷重と水平荷重を負担するための壁。外周部耐力壁と内部耐力壁とに区分される。
④ 屋根
たるき
屋根面を構成する主要部材。
天井根太(てんじょうねだ)
屋根直下の天井を構成する架材。
むなぎ板(むなぎいた)
棟(小屋の頂部)の位置に桁行方向にかかる連続した水平材。
小屋組(こやぐみ)
小屋組の形式は、一般にたる木方式、屋根ばり方式、トラス方式及び束建て方式の4つに分類される。
イ. たる木方式:たる木、天井根太及びむな木によるもの。
ロ. 屋根ばり方式:屋根ばり又は耐力壁又は支持壁によって支持されるたる木によるもの。
ハ. トラス方式:合板ガセット又はメタルプレートコネクターを用いたトラスによるもの。
ニ. 束建て方式:たる木、屋根ばり、束を天井ばりで支持するもの。

(引用:参考文献1)

⑤ その他
規格製材(きかくせいざい)
枠組壁工法構造用製材(一般には、ディメンションランバーという)とも呼ばれる。製材1本1本にサイズ・種別・等級を示すスタンプが押されており、管理しやすくなっている。
構造用合板(こうぞうようごうはん)
建物の構造耐力上、主要な部分(床・壁・屋根)に使用する合板。その接着層の耐水性能によって特類と1類のランクに分けられている。
参考例 枠組壁工法の構造体の部材と名称(引用:参考文献2)
参考文献1:「枠組壁工法住宅工事仕様書 2021年版」p122((独)住宅金融支援機構編著、(株)井上書院発行)
参考文献2:「枠組壁工法住宅施工マニュアル」p3(新井信吉編・著、住宅金融公庫監修、(財)住宅金融普及協会発行)