補修方法編の概要

 本編における補修方法例は、不具合事象の発生原因が特定され、それに対応した補修を行うこととした場合において、技術的に採用可能な補修方法について、過去に実際に行われた補修工事の事例等を参考として示すものです。

 このため、瑕疵担保責任に係る過去の判例においては、取り壊し建て替えを認めている判決もありますが、取り壊し建て替えは技術的に新築と同様であるため、本編においては対象としていません。

 また、最終的に紛争処理委員は、個別の案件における具体的な状況を勘案して、実際の紛争処理における補修を行う場合の補修方法の選定等の検討を行う必要があります。

 本編は、以下の項目により構成されています。

  • (1)不具合事象の原因別補修方法リスト(各不具合事象・発生部位毎)
  •  不具合事象の原因別に技術的な観点から採用されることが想定される補修方法をリストアップしています。ひとつの原因に対して想定される補修方法が複数存する場合は、各補修方法毎に以下の事項を記載しています。
    • ①補修工事の特性
    •  当該補修方法の適用条件等を記載しています。
    • ②居住条件
    •  当該補修工事に係る実施に伴う一般的な居住条件への影響度を以下のとおり表示しています。
      • A・・・仮移転が必要となる可能性が高い
      • B・・・居住が可能な範囲が一部の居室に限定される可能性がある
      • C・・・工事の実施が居住条件へ影響を及ぼす可能性が低い
  • (2)補修方法の内容の解説(全ての補修方法)
    • ①工事名称/工事NO
    •  工事NOは、各不具合事象の発生部位及び不具合事象毎に記載されています。
    • ②工事概要
    •  当該補修工事の全体のプロセスの概要を記載しています。
    • ③対応する不具合事象と原因
    •  どのような不具合事象及びその発生原因に対応して行うことを想定している補修工事であるかを示しています。
    • ④適用条件
    •  不具合事象の状況、工事の制約条件の有無等、当該補修工事を採用する際に必要となる条件を記載しています。
    • ⑤工事手順
    •  補修工事の各プロセスにおける詳細な工事内容等を記載しています。ただし、附随工事の内容(例えば、在来軸組工法の住宅における筋かいを新設する場合の断熱・気密工事の内容など)については割愛している場合があります。
    • ⑥備考
    •  補修工事の実施にあたっての留意点等を記載しており、美観等の点で契約時点で想定されていたものに比べて、必ずしも完璧に回復されない点(例えば、在来軸組工法の住宅における真壁部分の柱を交換する場合は、柱の補強金物が露出する可能性がある。)があることが想定される場合は、その内容を明記しています。