使用する検査機器


建築

機器の名称 含水率計・電気式水分計
機器の使用目的 部材に含まれる水分量(含水率)の測定
機器の概要 電気式水分計は木材、コンクリート、モルタル、ALCパネル等の部材に含まれる水分量(含水率)を電気抵抗や静電容量を測定する事により求める計測器で、電気抵抗や静電容量が水分量により変化する事を利用したものである。
電気式水分計には、水分に対応する電気抵抗の変化を利用する「電気抵抗式水分計」と、対応する静電容量の変化を利用する「静電容量式水分計(誘電率式、高周波容量式とも言う)」がある。

1.電気抵抗式水分計
電気抵抗式水分計には測定物の表面を測定するものと、内部を測定するものがあり、各種センサーが用意されているので、用途にあわせて選ぶことができる。
木材では通常「針センサー」を用い、測定物に針センサーを差込み、接触する部分の電気抵抗を測定し、含水率を求める。
コンクリート及びモルタルの表面測定の場合は「押当て式ゴムセンサー」を用い、内部測定の場合は、予め測定用に穴を設け、そこに「ブラシセンサー」を差込み、接触する部分の電気抵抗を測定し、含水率を求める。
「針センサー」や「ブラシセンサー」の場合、センサーの深さ毎に測定できるので、表面と内部の相違、深さによる水分の変化等を確認するのに向いている。

<電気抵抗式木材水分計(針センサー)の例>
〈参考値〉
[含水率測定範囲](乾量基準%)
 接続するプローブにより異なる
 木材:3.5~50%
 紙・ダンボール:3.5~40%
 モルタル・プラスター:0.8~15%
[表示分解能]
 0.1%

電気抵抗式木材水分計の例
<電気抵抗式コンクリート水分計(ブラシセンサー)の例>
〈参考値〉
[含水率測定範囲] (湿量基準%)
 コンクリート:0~10%
 モルタル:0~15%
[表示分解能]
 0.1%
[測定可能深度]
 標準センサー:
  表面から最大 50㎜以内
 深部センサー:
  表面から最大150㎜以内

電気抵抗式コンクリート水分計の例
電気抵抗式コンクリート水分計のプローブを小型の押当て式ゴムセンサーに替える事によりモルタルやコンクリートの表面水分の測定が可能。

2.静電容量式水分計(誘電率式、高周波容量式)
静電容量式水分計は、対象物の静電容量を測定することにより水分値を求める。
測定物表面に電極をあてて測るので、測定物に傷をつけない利点がある。
求められた測定値は測定物表面と内部の平均水分として求められる。

<静電容量式(高周波容量20MHz) 木材水分計の例>
〈参考値〉
[含水率測定範囲] (乾量基準%)
 試料により2~150%の範囲
[測定精度]:±0.5%
[測定可能深度]
 最大深さ40mmまで水分測定可能(含水率は平均値)

静電容量式木材水分計の例
<静電容量式(高周波容量20MHz)コンクリート水分計の例>
〈参考値〉
[含水率測定範囲] (湿量基準%)
 コンクリート:0~12%
 モルタル:0~15%
 ALCパネル:0~100%
[測定精度]
 コンクリート:±0.5%
 モルタル  :±0.5%
[測定可能深度]
 最大深さ40mmまで水分測定可能(含水率は平均値)
使用方法の概要
<電気抵抗式水分計(針センサー)の例>
1.準備
プローブの接続。(必ず電源を切って行う)
測定モードの切り替え。(広葉樹[HARD]モード、針葉樹[SOFT]モード等)
2.測定
プローブを測定深さまで測定物に差込む。
堅い木の場合はハンマー等で軽くたたく。
深度による水分のムラに注意する。
表示の安定をまって読み取る。
3.温度・樹種による補正
測定時にあらかじめ温度を計測。
温度に従って支持値を補正。

<電気抵抗式水分計(ブラシセンサーによるコンクリート内部測定)の例>
1.準備
コンクリートに差込み用に予め2ケ所の穴をあける。
プローブを本体に接続。(必ず電源を切って行う)
電源を入れ測定モードの設定。(コンクリート用、モルタル用等)
2.測定
プローブ先端のブラシセンサーを所定の深さまで測定物に差込む。
途中まで差込んで測定する時は、深度による水分のムラに注意する。
表示の安定を待って読み取る。
3.温度による補正
測定時にあらかじめ温度を計測。
温度に従って支持値を補正。

<静電容量式水分計(木材測定)の例>
(軽く押し当て測定)
  
(繊維方向と電極方向が同じ)
静電容量式水分計(木材測定)の例
1.準備
電源を投入し、比重表により樹種による比重を設定。(通常製品に添付)
木材厚さ補正値設定。(測定する木材の厚さに目盛を合わせる)
水分補正値の設定。
木材温度を測定し、温度補正値設定。(測定器と木材の温度差が大きい場合)
2.測定
木材の繊維方向と測定部の電極方向が同じになるよう、木材に水分測定部を軽く押し当てる。
測定部の全面が材料によく密着させる。
表示の安定を待って、水分の表示を読み取る。
(測定面は平面であることが望ましい。)
3.水分値補正の詳細
樹種の比重から水分を補正するには、測定する材料の比重(全乾比重)を求め、水分補正ダイアルの補正値を0にし材料の水分を求め、補正表を用いて補正値をもとめる。

<スギ、ヒノキの例>
全乾比重0.30のスギを補正ダイアル”0”で測定し16.0%と表示された。
表より補正値は”+2.0”で、補正ダイアルを”+2.0”に合わせる。
補正表の例

<静電容量式水分計(コンクリートの測定)の例>
1.準備
測定部が周囲から影響を受けないよう注意して電源投入(同時に0調整)
測定モードの設定(コンクリート、モルタル、ALCパネル用等)
材料厚さ補正値の設定(測定する材料の厚さに目盛を合わせる)
温度補正値の設定(測定器と測定材料の温度差が大きい場合)
2.測定
測定材料に水分測定部を軽く押し当て、水分の表示を読み取る。
測定部の全面が材料によく密着するように注意する。
測定される面は平面であることが望ましい。
関連する不具合事象 「床のたわみ」「結露」
備考