住宅の概要に関する基礎知識

丸太組構法

 丸太組構法は、構造耐力上主要な部分に丸太材、製材その他これに類する木材を水平に積み上げた壁により建築物を建築する工法であり、丸太材(LOG)を主に使うことから、「ログハウス」とも呼ばれている。
 国土交通省告示第411号(平成14年5月15日)により、以下のイ~ニまでが可能となり、面積制限は、延べ面積3,000m2以下、高さ制限も高さ13m以下と木造建築物と同じになった。
イ. 地階を除く階数が1又は2で丸太組構法としたもの
ロ. 地階を除く階数が2で1階部分を丸太組構法、2階部分が木造(建築基準法施行令第4条2項による場合、丸太組構法及び枠組壁工法を除く)又は枠組壁工法としたもの
ハ. 地階を除く階数が2で1階部分から2階部分までの外壁を連続した丸太組構法とした建築物のうち、2階部分に丸太組構法と木造(建築基準法施行令第46条2項による場合、丸太組構法及び枠組壁工法を除く)又は枠組壁工法とを併用したもの
ニ. 地階を除く階数が2で1階部分がRC造又はS造とした建築物のうち2階以上の部分が丸太組構法のもの

(参考:参考文献1)

なお、構造計算によって安全性を確かめなければならないのは、延べ面積300m2を超える場合(木造500m2を超える場合)、高さ8.5mを超える場合(木造13m・軒高9mを超える場合)地階を除く階数が2以上の場合とされている。

① 丸太組構法の特徴
 丸太組構法に用いる材料(丸太材、製材その他これに類する木材)は、十分に乾燥していることが望ましい。
材料の乾燥が十分でない場合、乾燥収縮に伴う不具合が発生する可能性があるので、調整が必要である。
丸太材を用いる場合、自然の素材を使用し、直接仕上げる事が多いため、乾燥による干割れや樹液のしみだしが生じることがある。
開口部が少なく自重が大きい。
木材は、繊維方向にほとんど収縮しないが、繊維方向と直角の方向には含水率(木材中の水分の量)が高いほど収縮する。
丸太材は断熱性に優れて熱伝導率が低い。
② 丸太組構法の主な部材等の用語
アウトリガーログ
切妻屋根の場合等で、ロフトの部分を広くするため1階部分よりも、ロフトの床、桁を跳ね出す形式のことを指す。
インシュレーション
断熱材、防音材、シール材等のことを指す。
キーウエイ
ログのセトルダウンを枠に伝えないようにするため、深さ5~8cmのキーボード(板)を入れる溝のことを指す。
グルーブ
上下のログの長手方向の隙間をフィットさせて積み上げるため、上のログの長手方向に沿って入れる溝、上下のログの重なり部分のことを指す。一般にはUカットが用いられる。

グルーブの種類(引用:参考文献2)

シーリングジョイント
天井を支える木のことを指す。
シーリングビーム
ロフトの床や母屋束等の重量を支え、耐力壁のずれを防ぐために入れる梁のことを指す。
セトリングスペース
セトルダウンに対応するため、開口枠の上部に開けるスペースのことを指す。一般的には開口高の3~5%くらいを開ける。
セトルダウン
ログの乾燥等による収縮・沈みのことを指す。ログの乾燥度により、セトルダウンの大きさは異なる。
チンキング材
雨水の浸入等を防ぐため、ログとログ間の隙間を埋める土やコーキング材、漆喰等のことを指す。
トリムボード
開口部の枠材やセトリングスペース、断熱材の保護、雨じまい等のために建具の上枠と縦枠に取付ける額縁のことを指す。
ドーマー
丸太組構法は、壁面に開口部を多くとる事が難しいため、採光等の向上のために屋根部分につけた出窓のことを指す。
ノッチ
ログとログの交差する部分に施す加工のことを指す。
パーリン
母屋のことを指す。
プレートログ
耐力壁の一番上のログのことを指す。
ヘッドログ
開口部の一番上に乗るログのことを指す。
ログウォール
ログハウスの耐力壁のことを指す。
ログエンド
丸太の端。ログではノッチ部から端までのことを指す。
ロフト
屋根裏のことを指す。
チンキング材
(引用:参考文献2)
トリムボード
(引用:参考文献2)
参考例 丸太組構法の例(引用一部加筆:参考文献2)
参考文献1: 「2003年版丸太組構法技術基準解説及び設計・計算例」p12~15(国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所、日本建築行政会議、(財)日本建築センター、ログハウス協会編集/工学図書(株)発行)
参考文献2: 「ログハウス施工マニュアル」p1,p19~20 ,p24(ログハウス協会 著・発行)