補修方法編

床の傾斜 束立てによる大引きの補強 F-1-208
木枠
工事概要

既設の束の中間に束を新たに増設し、たわんでいる大引きを修正し、補強する。


大引きの補強例(引用:参考文献2)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 床振動(V-1)
原因
  • 床組構成部材の断面寸法等の不足、配置・間隔の不良、架構・接合方法の不良、材料の品質不良
適用条件
  • 基礎の沈下がなく、大引きの断面寸法の不良の場合等に適用可能な方法である。
  • 大引き下40㎝程度以上の床下空間があること。(*1)
工事手順の例
(床下からの施工の場合)
1.事前調査
現場調査により、上記適用条件と、大引きのたわみ状況を確認する。(標準スパン0.9m以下、断面90×90以上)
  • 当該床下に到達できる範囲に点検口がない場合には、床面に点検口を新設し、補修後に点検口として使用できるようにする。
2.養生
資材搬入口から進入口までの経路となる床や壁等を養生する。
3.束立ての増設
幅木の上端に水糸を張る。(各大引きにそって)
根がらみを取り外し、点検口から当該床下までの経路を確保する。
新たに束石を据える、既設の束の中間位置の地盤を大ハンマー等により突き固める。(必要に応じコンクリートを打込む。)
束石を据えて地盤と密着させる。(水準器等で水平をとる。)
新設した束石の近くの地面に厚板等を敷き、厚板等と大引きの間に飼木を飼い、正規のレベルまで上げ、仮支持する。
水糸と床の間を計測し、適正であることを確認する。
必要な束の長さを計測し、加工の上、取り付ける。大引きとの接合は、4本のCN75くぎを斜め打ちする。(参考:参考文献1)
仮支持の飼木を取り外す。
4.根がらみの復旧
増設した束に根がらみを取り付け、進入経路の取り外した根がらみも復旧する。
1.にて床下への進入用の開口を新たに設けた場合には、適切な断熱・気密性能がある点検口とする。
5.最終確認
水準器等を用いて、床仕上げ面の水平を確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
片付け・清掃を行う。
  • 床下の木片などは蟻害の要因になるため確実に撤去する。
備考
(*1) 大引き下寸法が40cm程度以下の場合、施工精度の確保が困難な場合または床鳴りの発生が予測される場合は、床上からの施工となり、以下の工事手順が2と3、4と5の間に追加される。
2’.床材の撤去
補修箇所の回り1.8m四方程度の床仕上材、下張板、床根太を取り外す。
4’.床材の張り直し
取り外した床根太を取り付け直す。
撤去した下張材を張り替える。
床仕上材を居室単位で張り替える。
施工上の注意点
  • 大引きを引き上げるとき、他の束が浮き上がり別の不具合が生ずることがあるので注意する。
  • プラスチック製束又は鋼製束を使用する場合は、各製造所の施工要領書等に従い適切に施工する。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 枠組壁工法住宅工事仕様書 2023年版[p82(4.8)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院
2 枠組壁工法住宅の設計とディテール[p107] 新井新吉 (株)井上書院