補修方法編

勾配屋根の変形 束による屋根梁の補強(屋根梁方式) R-1-206
木枠
工事概要

たわんだ屋根梁をジャッキ等で持ち上げて、束により補強する。



束による屋根梁の補強の例(chord作成)
(屋根梁部分の図)(参考:参考文献2)
対応する不具合と原因 不具合
  • 屋根の変形、はがれ、浮き(R-1)
原因
  • 屋根梁の断面寸法の不良
適用条件
  • 小屋裏側から新設する小屋梁が搬入、設置できる場合に限る。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査により、補強する屋根梁のたわみ等の状況および天井を取り除く部分を確認する。
2.足場の設置
補強する屋根梁の直下の周囲に足場を設置する。
  • 足場の設置等により床を傷つけないよう、シート、コンパネ等による保護・養生を行う。
3.天井の取り外し
資材搬入、屋起こし作業上必要な開口部を確保するため、当該箇所の直下の天井の一部(断熱材含む)を取り外す。
4.屋根梁のジャッキアップ
振れ止め、小屋筋かい、ころび止めを取り外す。
直下の床に角材等を用いて、ジャッキ等を設置する。
ジャッキ等と屋根梁の間に仮柱を設置する。
屋根梁を適正な位置までジャッキ等で持ち上げ、仮に固定する。
5.屋根梁の補強
断面寸法の不足した屋根梁の中間の位置で、近傍のたる木に添わせて小屋梁を施工する。
  • 新設する小屋梁の直下のたて枠及びまぐさは、必要に応じて補強または交換をする。
小屋梁の上に集成材の束を施工する。
  • 束と小屋梁、屋根梁と束それぞれの接合部の両面を柱頭金物で緊結する。
屋根仕上材の不陸、浮き等が無いことを確認する。
6.天井の復旧
ジャッキ等で持ち上げていた仮柱を少しずつ下げながら、屋根梁のたわみが修正されているのを確認して仮柱を取り外す。
振れ止め、小屋筋かい、ころび止めを取り付ける。
取り外した天井を再施工する。
7.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
足場、養生シート等を撤去する。
片付け・清掃を行う。
備考
  • 本補修方法の束による補強以外にも添え木、方杖などで屋根梁を補強することもできる。

施工上の注意点
  • 新設する小屋梁の設置位置は、原則直下に開口がないところとする。
  • 補強または交換をする小屋梁の直下のたて枠及びまぐさは、構造計算等により断面寸法、グレード及び支持・緊結方法を決定する。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 枠組壁工法住宅工事仕様書 2023年版[p135(4.12.3)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院
2 初めて学ぶ図解ツーバイフォー工法 改訂3版 [p212~214の屋根梁方式の各図] 鈴木秀三、友井政利、枠組壁工法教材研究会 (株)井上書院