補修方法編

床室内空気汚染 フローリングの張替え F-4-501
木軸・木枠
工事概要

フローリングをはがして、新しく張り直す。


03_木補-軸02_F-4-501_2_図.jpgフローリング工法の例
(図は木造、フローリング張りは直張り工法(※2)を示す)
概要図(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 床振動(V-1)
  • 内装仕上材の汚損(I-1)
  • 内装仕上材のひび割れ、はがれ等(I-2)
  • 床からのホルムアルデヒドの発生による室内空気の汚染(SK-1)
原因
  • 仕上材の選択不良、断面寸法等の不足、品質不良、保管・管理の不良、割付けの不良、留付けの不良、接合不良
  • 接着剤・留付け材の選択不良、品質不良
適用条件
工事手順の例
(床先行施工の場合)
1.事前調査
現場調査により下地合板以下の不具合がないことを確認する。
補強、交換を必要とする範囲を確認し、工事計画を立てる。(※1)
2.フローリングの撤去
フローリング・幅木・壁ボードの施工状態を確認し、以下の順序で撤去する。
  • 幅木
  • 2段目胴縁以下のボード又は床上20cm程度
  • 1段目胴縁
  • フローリング
※壁先行施工の場合には撤去は不要。また、幅木を撤去した状況により、壁を張り替えないですむ場合がある。
フローリング留付釘を残らず抜き去り、下地合板の浮き、留付不良があれば打ち直す。
既設フローリングが接着剤併用の場合は、残存した接着剤を除去し、残存接着剤等の不陸を修正する。
下地合板全面を踏みしめ、不具合のないことを確認する。(※2)
3.フローリングの施工
フローリングを釘打ちまたは接着剤併用・釘打ちとする。
  • 接着剤を用いる場合には、ホルムアルデヒドを発散しないもの又は極めて発散量の少ないもの(F☆☆☆☆)を使用する。
壁際は50mm程度の見込みとする。(壁・幅木下地取付のため)
フロア釘の長さ、間隔はメーカー仕様に従って施工する。
必要に応じて厚紙等で床を養生する。
4.壁、幅木の施工
壁際のフローリングの上に胴縁を流し、間柱あたり釘止めとする。
せっこうボードを張る。継手はVカット。
幅木はフローリングに密着させ、接着剤併用釘打ちまたは両面接着剤張りとする。
  • 使用する接着剤は、ホルムアルデヒドを発散しないもの又は極めて発散量の少ないもの(F☆☆☆☆)を使用する。
必要に応じて内壁のボード継手のパテ処理を行い、内壁を仕上材(壁紙)で仕上げる。
5.最終確認
仕上り具合を確認する。
  • 汚れ、床のきしみ等がないことを確認する。
片付け・清掃を行う。
備考
(※1) 「ホルムアルデヒドの発生による室内の汚染」の補修において、取り替える材料が当該住宅に用いられた状態で一定期間以上経過している場合は、当該材料中におけるホルムアルデヒドの揮発の進行により濃度の低減効果が少ないことがある。なお、平14国交告第1113号、第1114号及び第1115号では建築物に用いられた状態で5年以上経過している建築材料は対象外とされている。
(※2) 根太に留め付けるフローリング張りは、下地板のある工法(直張り工法)と下地板のない工法(根太張り工法)がある。(参考:参考文献1) 工事手順2は、直張り工法で記載している。

施工上の注意点
  • 住宅内装工事は、壁・天井に先立ってフローリング張りをするのが、一般的であるため、フローリングの張り替えの際は、壁の一部撤去を伴うことが多い。
  • 接着剤等は施工中・施工後に有害物質の発散のできるだけ少ないものを使用するように配慮する。
  • 室内空気の汚染の補修を目的とする場合、施工時期や使用されている材料によっては、下地まで取り替えるなどの配慮が必要な場合がある。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版[p194(12章6節),p342(19章2節),p354(19章5節)](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一社)公共建築協会 (一社)公共建築協会
2 木造住宅工事仕様書 2021年版[p158(8.1.7)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院