補修方法編

外壁のひび割れ・欠損 シール工法(外壁部) G-2-502
木軸・木枠
工事概要

モルタル層に発生した幅が狭く、浅いひび割れからの漏水を防止するために、ひび割れに沿ってシール材を塗布する工法である。


ひび割れの状況例(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁のひび割れ・欠損(G-2)
原因
  • 仕上材等の品質不良、施工不良
適用条件
  • ひび割れの原因が、構造耐力上の問題によらない場合に適用する。
  • ひび割れの原因が、構造耐力上の問題による場合は、補修工事の実施によりその問題が取り除かれていることが専門家の調査により確認された場合に限り適用する。
  • 0.2㎜程度未満のひび割れ幅の場合に適用する。
  • 補修により、美観上の問題が生じないことが確認された場合に限り適用する。
工事手順の例
1.足場の設置
該当部分に足場を設置し、足場設置後、除去時に発生する粉塵や吹付塗材等が隣地に飛ばないようにその外回りに防塵シートを張る。
2.外壁の状況確認
ひび割れ、モルタルの付着度および浮きの状況を確認する。
3.吹付塗膜の除去 以下の方法により吹付け塗膜を除去する。
雨樋、水切り、笠木等、外壁面に付属しているものがある場合は、一時撤去する。
コケや水あか等の汚れが発生している場合には、高圧水洗浄等により付着した汚れ等の除去を行う。
吹付け塗膜をサンダー、皮すき(ヘラ状のもの)等で除去する。
4.ひび割れ部分の補修
プライマーを塗布したのち、シール材をパテへら等で幅10㎜、厚さ2㎜程度に塗布し、表面を平滑に仕上げる。プライマーは、製造所の指定する製品とする。(参考:参考文献1)
補修部の上に仕上塗材仕上げ等を行う場合は、塗り重ね適合性を確認し、必要な処理を行う。(参考:参考文献1)
5.確認・試験
乾燥養生後、シール部分の状態を確認のうえ、水かけ試験を行い、浸水がないことを確認する。
6.仕上塗材仕上げ
既存の吹付け部分の色に合わせて出隅部、入隅部等見切りの良い範囲まで吹付けによる表面仕上げ(薄付け仕上塗材(リシン等)、複層仕上塗材(吹付けタイル等))を行う。
7.外壁に付属していた部材の取り付け
雨どい、水切り、笠木等、外壁面に付属している部材を再度取り付ける。
8.足場の撤去
防塵シートを取り外し、足場の撤去を行う。
9.最終確認
工事の仕上がりを確認する。
片付け、清掃。
備考
  • シール材の選定は、挙動の少ない場合はパテ状エポキシ樹脂、挙動が比較的大きい場合は追従性が期待できる可とう性エポキシ樹脂の方が適する。(参考:参考文献2)
  • シール部分の上に吹付けによる表面仕上げを行った場合、吸水性の差があり、シール部分が目立つことがある。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版[p86(4.2.7)、p90(4.3.8)](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
2 建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)[p388、392、407](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター