補修方法編

床の傾斜 大引きの補修 F-1-209
木枠
工事概要

部分的なたわみ(折れ)が発生している大引きを添え木により補強する。


大引きの補修施工例(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 床振動(V-1)
原因
  • 床組構成部材の材料の品質不良
適用条件
  • 大引き材の一部のみに欠損があること。
  • 補強した部分が、美観上支障のない場合に限る。
  • 大引き下40㎝程度以上の空間があること。(*1)
工事手順の例
(床下からの施工の場合)
1.事前調査
現場での事前調査により、大引きの状況を確認する。
  • 当該床下に到達できる範囲に点検口がない場合には床面に点検口を新設し、補修後も点検口として使用できるようにする。
2.養生
資材搬入口から進入口までの経路となる床や壁等を養生する。
3.添え木補強
(*2)
幅木上端に水糸を張る。
根がらみを取り外し、点検口から当該床下までの経路を確保する。
たわんだ大引きの下端に鋸目を入れ自由に持ち上がることを確認し、支柱を斜めにかい、たたき入れて大引きを水平に修正する。(腐朽している場合は、削り取り埋木する。)

たわんだ大引きの下端に鋸目を入れた状況(chord作成)
添え木204(38×89)を大引きの両面に釘打ちで固定する。CN75を両端部2本、中間部300mm間隔以内に千鳥に平打ちする。
添え木と床根太をCN75くぎで留める。
水糸により床面レベルを測定し、適正であることを確認する。
4.根がらみの復旧
根がらみを復旧する。
1.にて床下への進入用の開口を新たに設けた場合には、適切な断熱・気密性能がある点検口とする。
5.最終確認
水準器等を用いて、床仕上げ面の水平を確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
片付け、清掃を行う。
  • 床下の木片などは蟻害の要因になるため確実に撤去する。
備考
*1
大引き下寸法が40cm程度以下の場合、施工精度の確保が困難な場合または床鳴りの発生が予測される場合は、床上からの施工となり、以下の工事手順が2と3、4と5の間に追加される。
2’.床材の撤去
補修箇所の回りの1.8m四方程度の床仕上材、下張板、床根太を取り外す。
4’.床材の張り直し
取り外した床根太を取り付け直す。
撤去した下張板を張り替える。
床仕上材を居室単位で張り替える。
*2
腐朽・蟻害が原因の場合は、当該部分の撤去、補修に先立ち、その原因と範囲を確定し、腐朽・蟻害対策措置が別途必要である。
施工上の注意点
  • 床下の作業の場合には、床根太・大引きの留付けは、釘打ちよりも、ねじ留めが容易かつ確実である。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 枠組壁工法住宅工事仕様書 2021年版[p76(4.8)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院