補修方法編

降雨による漏水 (防水床バルコニーの)防水紙、防水テープの再施工 W-1-511
木軸・木枠
工事概要

バルコニー手すり壁の外壁取付部分に、防水紙および防水テープを再施工する。


参考図(引用:参考文献2一部加筆)
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
    <バルコニーの外壁取り合い部などからの漏水>
原因
  • 防水紙、防水テープの施工不良
適用条件
  • 手すり壁と外壁部分の外壁仕上げを撤去し、防水下地面をあらわしとすることができること。
  • 手すり(棒)や笠木を外せること。
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場の原因調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
2.周辺外壁材の撤去
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
手すり(棒)、笠木を取り外す。
手すり壁及び外壁の必要な範囲の外装材を取り外す。
  • いずれもバルコニー防水床面を傷めないように気を付けてはがすこと。
3.既存防水紙の撤去
手すり壁及び外壁の必要な範囲の防水紙をはがす。
4.手すり壁上端部(A・B部以外)の防水紙の再施工
手すり壁の外側および内側の防水紙は、手すり壁上端からそれぞれ反対側に巻き込み、150㎜以上立ち下げる。防水紙の立下り部分は、ステープルまたは防水テープで留め付ける。
鞍掛けシートは、改質アスファルトルーフィング(参考:参考文献1)又はこれと同等以上の性能を有するものとする。(※1)張り方は、手すり壁上端で折り曲げ、手すり壁の外側及び内側に100mm程度立ち下げる。(参考:参考文献1)鞍掛けシートの立下り部分は、ステープル又は防水テープで留め付ける。
5.手すり壁の飾り窓部分の防水紙の再施工(A部の場合)
入隅部分に増張り防水紙を留め付け、増張り防水紙に防水テープ(※2)を張る。

03_木補-軸08_W-1-511_5_5_図.jpg
伸張性のある防水テープを張る場合の例(引用:参考文献2)
6.手すり壁と外壁との取合い部の防水紙の再施工(B部の場合)
手すり壁と外壁との取合い部は、手すり壁の防水紙を外壁の防水紙の裏に差し込み、防水テープ(※2)を張る。(参考:参考文献1)

手すりと外壁取合い部の防水紙の納まり例(引用:参考文献1)
7.外壁材の再施工
外装材を再施工する。
  • 外壁材がモルタル塗り(吹付け仕上げ)の場合には7.と8.の工程は逆転または並行する。
8.手すり(棒)、笠木取付
笠木を取り付ける位置の鞍掛けシートに両面防水テープを張り、笠木、手すりを取り付ける。

手すり上部の防水の例(引用:参考文献1)
9.最終確認
散水を行い浸水がないことを確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
足場、養生等を撤去のうえ、片付け・清掃を行う。
備考 (※1)鞍掛けシートの品質を規定する、(一社)日本防水材料協会規格JWMA-A01:2021 00(先張り防水シート及び鞍掛けシート)が2021年3月に制定された。
(※2)バルコニー手すり壁、その上端と外壁などの面が三方向から立体的に交わる部
分(三面交点)はピンホールを生じやすく、雨水浸入の原因となりやすいため、防水
テープまたは既製品の防水役物等を用いて確実に止水する。防水テープを使用する場
合は、縮み戻りの少ない伸張性のものとすることが望ましい。(引用:参考文献1)
  • バルコニー手すり壁を乾式の仕上げとする場合には外壁と同様に通気措置を講じる必要がある。特に、手すり壁上部付近において通気層を塞ぐことのないようにすることが必要。

    03_木補-軸08_W-1-511_6_図_2022笠木の両側で通気をとる場合    笠木の内側で通気をとる場合

    手すり壁の通気措置の例(引用:参考文献2)

  • 手すり壁の構造材などに腐朽・蟻害がある場合には、それらも撤去し、再施工する必要がある。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 木造住宅工事仕様書 2021年版[p179~180、p179参考図8.16-1、p180参考図8.16-2] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院
2 まもりすまい保険設計施工基準・同解説(2019年版)(第2版)[p46~51] 住宅瑕疵担保保険法人住宅保証機構(株) 住宅瑕疵担保保険法人住宅保証機構(株)
3 (一社)日本防水材料協会規格 JWMA-A01:202100先張り防水シート及び鞍掛けシート (一社)日本防水材料協会アスファルト防水部会 (一社)日本防水材料協会アスファルト防水部会