補修方法編

外壁仕上材のはがれ、浮き サイディングの張替え G-3-201
木枠
工事概要

サイディング仕上げを全面撤去し、下地から施工する。


サイディング張りの補修例(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁の傾斜(G-1)
  • 外壁のひび割れ・欠損(G-2)
  • 外壁仕上材等のはがれ、浮き(G-3)
  • 降雨による漏水(W-1)
原因
  • 仕上材等の選択不良、品質不良、施工不良
  • 外壁仕上材、留付金具・釘・ビスの選択不良、品質不良、割付・支持不良
  • 下地材の施工不良
適用条件
  • 外壁のひび割れ等が不同沈下や基礎の問題、枠組の問題が要因でない場合に適用が可能。
工事手順の例
[サイディング横張りの例で示す]
1.足場の設置
該当部分に足場を設置し、解体時に発生する粉塵や吹付け塗布材が隣地に飛ばないようにその外回りに防塵シートを張る。
2.外壁の状況確認
サイディングの張り方の状況や釘の位置関係等を確認する。
3.外壁の撤去 以下の方法により外壁を撤去し、縦胴縁を露出させる。
雨樋、水切り、笠木等、外壁面に付属しているものを一時取り外し、シーリング材を撤去する。
釘抜き等を用いてサイディングを取り外す。
  • 外壁材(サイディング)の撤去時に残すたて枠、外壁下張材等を傷つけないように解体すること。
4.縦胴縁の状況確認
サイディングの縦目地部分に使用している縦胴縁の寸法等の状況を確認する。
  • サイディングの合いじゃく部を除いた部分の端部および切断面からの端あき寸法が不足する状態で釘打ちすると、サイディング材にひび割れが発生し、はがれ、浮きにつながることが多い。
5.縦胴縁及び防水紙の撤去
縦胴縁を取り外し、防水紙を撤去する。
  • 不陸、あばれ等がある場合は下張材をはがし、たて枠が腐朽している場合はたて枠を交換する。

03_木補-枠03_G-3-201_5_5_図.jpg
サイディング・下地材の解体(chord作成)
6.透湿防水シートの施工
通気構法を原則とし、防水紙(透湿防水シート)は横張りとする。透湿防水シートの上下の重ね幅は90㎜以上、左右の重ね幅は150mm以上とする。
開口部周囲の透湿防水シートの張り方は、サッシの下枠、縦枠、上枠の順に防水テープで密着させる。
防水シートは、先張り防水シートの下にさし込んで張る。また、先張り防水シートとサッシ下枠のくぎ打ちフィン(つば)には防水テープを張らない。(※1)
  • 開口部まわりの防水紙、防水テープの施工については、木造(共通)W-1-506を参考にする。

先張り防水シートの参考例(引用:参考文献2一部加筆)



先張り防水シートの端部処理(引用:参考文献2一部加筆)





防水テープの張り方例(引用:参考文献1 一部加筆)
7.縦胴縁を鉛直方向に設置
横張りのサイディングの場合、縦胴縁は鉛直方向の向きとし胴縁間隔500mm以下に設置する。(※2)
  • サイディングの縦目地の部分は縦胴縁をダブルまたは幅90㎜以上で設置する。
8.サイディングの取り付け 以下のようにサイディングを張る。
シーリング材の三面接着防止および目地部分より浸入する雨水の一次防水のために専用の目地ジョイナーを縦目地部分に取り付ける。
サイディングは製造所の仕様により取り付ける。
  • 釘留めとする場合は、釘の位置を切断面より20~35㎜離し、先行穴あけの上釘打ちとする。(窯業系サイディングは留め付け釘による割れに注意が必要。)
  • 窯業系サイディングは、JIS A5422:2019に適合するものとする。
開口部および目地部分の両側にシーリング材のはみ出しを防ぐためにマスキングテープを張る。
サイディングのシーリング目地小口にシーリング材専用プライマーを塗り、シーリング材のはく離を防止する。
シーリング材を充填し、ヘラ等で押し込むようにして表面を平滑に仕上げる。

サイディング横張りの例(引用:参考文献2 一部加筆)


取り付け例(引用:参考文献2 一部加筆)
9.外壁に付属していた部材の取り付け
雨どい、水切り、笠木等、外壁面に付属している部材を再度取り付ける。
  • とい支持金物の取付けは、シーリング目地を避けた位置に先孔をあけて取付け、取付け部周辺はシーリング材を充填して雨仕舞を行う。
10.足場の撤去
防塵シートを取り外し、足場の撤去を行う。
11.最終確認
工事の仕上がりを確認する。
片付け・清掃を行う。
備考
(※1)先張り防水シートがない場合は、サッシの四周に両面粘着防水テープを張り、防水紙(透湿防水シート)を施工する。(引用:参考文献2一部加筆 )
(※2)防腐処理された胴縁を使用する場合は、防腐処理に使用している薬剤が透湿防水シートの性能を低下させることがあるため、施工中は胴縁を濡らさないようにし、胴縁の施工後は速やかに外装材を施工するよう留意する。(参考:参考文献1、3)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 枠組壁工法住宅工事仕様書 2023年版[p119,p234(10.4),p251参考図11.1.4-2一部加筆] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院
2 窯業系サイディングと標準施工(第4版)[p23,26,32,39] (一社)日本窯業外装材協会 (一社)日本窯業外装材協会
3 JIS A6111:2016透湿防水シート[p解5~6(解説7)] 揖斐敏夫 (一財)日本規格協会