補修方法編

その他の騒音 外壁内透湿防水シートの留め付け補修 SO-5-501
木軸・木枠
工事概要

外壁通気層への風の流入による透湿防水シートの留め付け不良によって生じた振動音の不具合発生防止を目的として、既存の外壁仕上材を撤去し、透湿防水シートの留め付け不良箇所を補修する。


留め付け補修の例(chord作成)
補修を行った部分を赤色で示す。
対応する不具合と原因 不具合
  • その他の騒音(壁下地構成材の施工不良部からの騒音の発生)(SO-5)
原因
  • 壁下地構成材の留め付け不良
適用条件
  • 外壁の防水工法が通気構造であること。
  • 音の発生源が透湿防水シートの振動によるもので、音の発生場所が特定できる場合であること。
工事手順の例
1.事前調査
当事者へのヒアリングを行い、現場での原因調査を行う。
原則として外壁からの発生音の確認を行い、実態を把握する。 音の発生場所の確認に際しては、強風時に行うか、又は土台水切りと外装材との隙間に風を送るなどすることが望ましい。
2.外壁の撤去
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
音が発生している周辺の外装材を撤去する。
3.透湿防水シートの留め付け
音の発生原因と思われる箇所を確認する。特に透湿防水シート端部(土台水切り部、透湿防水シート接合部の重ね部、軒げた上端部等)は入念に確認する。
透湿防水シートの留め付け方法は各製造所の仕様による。
  • 原因箇所の透湿防水シートは片面または両面テープにより留め付けを行い、目視にて接着不足、たわみ、破損等がないことを確認する。
再度、強風時、又は透湿防水シートに風を当てるなどした際に音の発生がないか仮測定を行い確認する。
4.外壁仕上材の施工
外壁の仕上げを復旧施工する。
  • 施工に際し仕上材の種類に応じた工法で適切に施工する。
必要に応じて外壁に付属している部材や開口部回りのシーリングを施す。
  • 吹付塗装仕上げの場合には、シーリングを施した後に外壁を塗装で仕上げる。
5.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
足場がある場合は撤去の上、片付け・清掃を行う。
強風時、又は土台水切りと外装材との隙間に風を送るなどして音の発生がないか、再度補修措置の効果を確認する。
備考
  • 遮音補修は、許容できる騒音の程度には個人差があることに十分に注意して行う必要がある。少しでも音が聞こえている以上、うるさいと評価される可能性を持っている。
    したがって、遮音補修によってある一定の遮音性能を確保すれば万全ということではなく、ユーザーの要求や対象空間の音環境を十分調査する必要があるとともに、補修前に居住者等に十分に説明し、現状に対する騒音の低減の程度を理解してもらうことが重要である。(参考:参考文献1)
  • 一般部の透湿防水シートの留め付け不良のほか、外壁最上部に張られた透湿防水シートが軒げた上端部よりはみ出して張られていたために、小屋裏内に吹き込んだ風によってはみ出して張られた部分の透湿防水シートが振動し、音が発生する場合もある。


軒げた上端部よりはみ出して張られた
透湿防水シートが振動して音が発生した例(chord作成)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 部位別・図解 木造住宅の防音リフォームマニュアル [p140 7.3] (財)日本住宅リフォームセンター(現・(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) (株)彰国社