補修方法編

降雨による漏水 樹脂注入止水工法 W-1-325
RC造
工事概要

地下壁等、建物の外部からの施工が困難なひび割れ、打継ぎ、豆板、コールドジョイント等に生じた漏水箇所に内部側から樹脂系注入止水剤を注入することにより、ひび割れ等に充填され硬化する工法である。(*1)

対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨(地下水)による漏水(W-1)
  • (地下)外壁のひび割れ・欠損(G-2)
原因
  • 仮設材等の後処理
  • 水切り、防水層、シーリング材等の施工
  • コンクリートの打込み・締固めの不良、養生の不良
  • 伸縮調整目地の入れ方の不良
  • ひび割れ誘発目地の入れ方の不良
適用条件
  • ひび割れの原因が、構造耐力上の問題によらない場合に適用する。
  • ひび割れの原因が、構造耐力上の問題による場合は、補修工事の実施によりその問題が取り除かれていることが専門家の調査により確認された場合に限り適用する。
  • 漏水の量、水質(海水、酸、アルカリ、化学物質等)は、注入止水工法の条件に適合すること。
  • 対象部位の温度は注入止水工法の条件に適合すること。
  • 補修により美観上の問題が生じないことが確認された場合に限り適用する。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ひび割れ、打継ぎ、豆板、コールドジョイント等の不具合の状況および部位ごとに、工事手順の計画を立てる。
2.準備
必要に応じて足場を設置する。
コンクリート切削時に発生する粉塵が地下室等の機械類などに飛ばないよう防塵シートを張る。
3.溝掘り又は穿孔
ひび割れ、打継ぎ不良等からの漏水不具合の状況に応じ、これらに沿って溝掘りをするか、又は一定間隔に注入口用の穿孔をする。
4.注入剤の注入・確認
樹脂注入止水工法の注入手順に基づき、樹脂注入剤を注入する。
樹脂注入剤の注入状況を確認する。
5.止水の確認
施工箇所の止水ができているか確認する。
施工範囲以外の範囲から新たな漏水がないか確認する。
6.処理
樹脂注入止水工法の処理方法に基づき、作業を行う。
7.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
足場を撤去のうえ、防塵シートを取り外し、片付け・清掃を行う。
備考
*1 止水工法は、無機系の注入止水材(超微粒子セメント系、高炉スラグ超微粒子等)を用いる工法と有機系の注入止水材(エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、疎水性ポリウレタン樹脂系、親水性ポリウレタン樹脂系等)を用いる工法がある(参考:参考文献1)。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 「機能性建築材料の性能調査結果」2009年7月16日(修正2014年3月24日)
13.注入止水材(主要情報一覧表,解説)
(一社)日本建設業連合会 材料施工専門部会 仕上材料研究会・材料データベースWG (一社)日本建設業連合会