補修方法編

床の傾斜 添え梁による梁の補強(側面) F-1-105
木軸
工事概要

梁の不具合部分を取り除き埋め木等で補修し、添え梁を両側面に取り付け、補強する。(一般的に根太の交換が必要となる。)



概要図(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 外壁の傾斜(G-1)
  • 外壁のひび割れ・欠損(G-2)
  • 内壁の傾斜(N-1)
  • 勾配屋根の変形(はがれ、ずれ、浮き)(R-1)
  • 床振動(V-1)
  • 水平振動(V-2)
原因
  • 床組構成部材の材料の選択不良、品質不良、腐朽・蟻害
  • 小屋組材の品質不良、腐朽・蟻害
  • 軸組の材料の品質不良
適用条件
  • 梁の腐朽・蟻害、欠損等がある場合にも適用可能な方法である。
  • 側面からの補強方法なので外壁面には適用できない。また、補強する梁に掛かる直交梁がない場合に限る。
  • 補強された梁が表面に露出する場合には、これにより美観上支障のない場合に限る。
工事手順の例
1.事前調査
現場での事前調査により、仕口部分が負担する荷重に対して構造耐力上安全であることを確認する。
2.足場の設置
補修する梁の直下の周囲に足場を設置する。
  • 足場で床仕上げを傷つけないよう、シート、コンパネ等による保護、養生を行う。
3.梁下の天井撤去
補修する梁の周囲の天井の仕上げ、下地材を取り外す。
4.梁の仮支持
床に角材を敷き、その上にパイプサポートを設置し、既設の梁を仮受けする。
5.梁の腐朽・蟻害部分の撤去
腐朽・蟻害部分を削り取り必要に応じて埋木する。(*1)
6.梁のジャッキアップ
パイプサポートを調整して、梁を所定のレベルまで持ち上げる。
7.添え梁取り付け
梁の両側に添え梁(乾燥した木材またはスチール製)を通し、ラグスクリューにより取り付ける。
8.パイプサポートの撤去
パイプサポートを少しずつ下げ、梁のレベルが所定位置になっているかを確認する。その後、パイプサポートを撤去する。
9.天井の補修
撤去した天井の下地材、仕上げを施工する。
10.最終確認
水準器を用いて、床仕上げ面の水平を確認する。
校時全体の仕上がりを確認する。
足場等を撤去のうえ、片付け・清掃を行う。
備考
(*1) 腐朽・蟻害部分の撤去、補修に先立ち、腐朽・蟻害の原因と範囲を確定し、腐朽・蟻害対策措置が別途必要である。

施工上の注意点
  • 不具合の程度によっては、梁の交換(木造(軸組)F-1-106参照)も考えられる。
  • パイプサポートを設置する床の下に土台がない等、補強が必要な場合には適切な補強を行う必要がある。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所