補修方法編

床の傾斜 大引きの交換 F-1-501
木軸・木枠
工事概要

腐朽・蟻害がある大引きの一部を交換する。


概要図(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 床振動(V-1)
原因
  • 床組構成部材の材料の選択不良、材料の品質不良、腐朽・蟻害
適用条件
  • 大引きの一部のみに腐朽等があること。
  • 腐朽・蟻害部分を完全に取り除くことが必要な場合にも適用可能である。
  • 大引きを交換した部分が美観上支障のないこと。
  • 大引き下40㎝程度以上の空間があること。(*1)
工事手順の例
(床下からの施工の場合)
1.事前調査
現場での事前調査により、大引きの腐朽等の状況を確認する。
  • 当該床下に到達できる範囲に点検口がない場合には、床面に点検口を新設し補修後も点検口として使用できるようにする。
2.養生
資材搬入口から進入口までの経路となる床や壁等を養生する。
3.大引きの交換(*2)
幅木上端に水糸を張る。
根がらみを取り外し、点検口から当該床下までの経路を確保する。
交換を要する大引きの範囲を確認する。新設大引きと既設大引きの相欠き継手位置は出来るだけ束に近づける。
必要に応じて、根太の仮支えを設置する。
相欠き継手の墨を出し、交換部分を切り取って搬出する。
新しい大引きを加工し、根太に斜めから木ねじで取り付ける。(根太から下向きに出ている釘先は切り取る。)
既設の束を差し入れ、水糸と床面を測定し、適正であることを確認する。
大引き同士を斜め木ねじ止めで緊結する。
大引きと束を留め付ける。
根太の仮支えを取り外す。
4.根がらみの復旧
根がらみを復旧する。
1.にて床下への進入用の開口を新たに設けた場合には、適切な断熱・気密性能がある点検口とする。
5.最終確認
水準器を用いて、床仕上げ面の水平を確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
片付け、清掃を行う。
  • 床下の木片などは蟻害の要因になるため確実に撤去する。
備考
(*1)大引き下寸法が40cm程度以下の場合、施工(大引きの取り外し、精度の確保等)が困難な場合または床鳴りの発生が予測される場合は、床上からの施工となり、以下の工事手順が2と3、4と5の間に追加される。
2’.床材の撤去
補修箇所の周りの1.8m四方程度の床仕上材、下地板、根太を取り外す。
4’.床材の張り直し
取り外した根太を取り付け直す。
撤去した下地板を張り替える。
床仕上材を居室単位で張り替える。
(*2) 腐朽・蟻害が要因の場合は、当該部分の撤去、補修に先立ち、その原因と範囲を確定し、腐朽・蟻害対策措置が別途必要である。

施工上の注意点
  • 点検口の位置によっては長い大引きも搬入できる。
  • 建設住宅性能評価書を交付された住宅で該当する等級が2以上のものでは、大引きの配置は、原則として品確法告示平13第1347号第5の1「構造の安定に関すること」の基準を満たすこと。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所