補修方法編

降雨による漏水 軒先水切・軒どいの再施工 W-1-502
木軸・木枠
工事概要

軒先水切を取替える。必要に応じて、といを取り替えるかまたは取り付け直す。

03_木補-軸08_W-1-502_2_図上.jpgスレート屋根の場合

03_木補-軸08_W-1-502_2_図中1.jpgF形瓦の場合(chord作成)

03_木補-軸08_W-1-502_2_図中2.jpgJ形瓦の場合

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
金属板の場合(引用:参考文献1一部加筆)

参考図
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
    <軒先隙間からの漏水>
原因
  • 屋根工法・材料の選択不良、品質不良
  • 屋根の各部位の納まりの不良、施工不良
適用条件
  • 軒先部分を施工する(近づける)安全な方法と、十分な施工スペースが確保できること。
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場の原因調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
2.周辺屋根材のはがし、まくり上げ(といの外し)
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
屋根材の重ね方や納め方をできるだけ傷めないように注意して軒先部の該当部周辺の屋根材をはがし、まくり上げる。
といが漏水原因になっている場合、又は、施工上の必要に応じて、といを取り外す。軒先水切を取り外す。
漏水部分の状況を確認し、漏水による劣化の影響範囲の補修を行う。
3.軒先水切の取り替え
軒先水切を取り付ける。
  • 下ぶき材の重ね方や巻き込み方にも注意する。
  • 軒先側への水切立下げ長さを十分にとること。また、軒どいとの十分な間隔や納まりが問題ないことも確認する。
  • 軒先全体の工事の場合はけらば部の納め方にも注意すること。
4.釘頭シーリング
取り付けた軒先水切部等の釘頭をシーリングする。
5-1.屋根材のかぶせ
屋根の材料に応じ所定の方法で、はがし、まくり上げた部分の屋根材をかぶせ、屋根を復旧する。
(5-2.といの取り付け)
といを取り外した場合は、取り付け直す。
  • といを取り替える場合は、製造所の仕様により、適切な位置にとい受け金物を設置し、軒どいを取り付ける。
  • 必要な軒どいの勾配が確保できているかを確認する。
6.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
片付け・清掃を行う。
屋根面から水を流し、適切に排水されていることを確認する。降雨時に浸水がないことを確認する。
足場、養生等の撤去を行う。
  • 止水を確認するまで仮設は撤去しないことが望ましい。
備考 施工上の注意点
  • 軒先の屋根材の一部をはがす場合には、丁寧に行わないと、はがす範囲を不用意に広げてしまう恐れがあるため留意する。
  • 新たな浸水箇所をつくる恐れがあるため、施工時には既存の屋根材との取り合いに十分注意する。

参考文献

資料名・該当箇所 編著者 発行所
1 建築工事標準仕様書・同解説 JASS12 屋根工事(2020) [p221 解説図10.13一部加筆、14節 とい(樋)p342~373] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会
2 木造住宅工事仕様書 2021年版[p143~p144(6.10)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院