補修方法編

塗膜のふくれ・割れ・はがれ 外壁の仕上塗材の塗替え
(コンクリート系下地)
TO-1-003
木軸・木枠・RC造・S造
工事概要
  • 不具合の生じた仕上塗材の既存塗膜を除去して、新規に再塗付けを行う工法である。
  • 既存塗膜を全面除去して施工する方法と、不具合部分のみを部分除去して再度塗付けを行う方法がある。

03_木補-軸12_TO-1-003_2_概念断面図_上_全面除去既存塗膜を全面除去する場合

対応する不具合と原因 不具合
  • 塗膜のふくれ・割れ・はがれ(TO-1)
原因
  • 材料の選択不良、品質不良
  • 工法の選択不良
  • 不適切な環境条件における施工
  • 既存塗膜の除去等の不良
  • 施工方法の不良


03_木補-軸12_TO-1-003_2_概念断面図_下_部分除去既存塗膜を部分除去する場合

塗替え補修後の概念断面図
(chord作成)
(複層塗材Eの例)
適用条件
  • コンクリート系(コンクリート、モルタル、ALCパネル及び押出成形セメント板)下地に適用する。
  • 仕上塗材を用いて外壁の塗装工事を行った後に発生した、塗膜のふくれ・割れ・はがれに適用する。(※1)
  • コンクリート系下地に不具合がある場合は、補修工事によりその問題が取り除かれていることを確認した上で適用する。
  • 補修により、美観上の問題が生じないことが確認された場合に限り、適用する。(※2)
工事手順の例
1.事前調査  
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ふくれ・割れ・はがれ等の状況を確認し、工事計画を立てる。
不具合の発生状況に基づき既存塗膜の除去範囲や補修範囲を設定する。
意匠性、性能、経済性等を踏まえて仕様・工法を選定する。
既存塗膜を全面除去する場合は、塗装面となる下地との適合性を考慮して仕上塗材を選択する。
部分除去する場合は、既存塗膜との適合性も考慮して仕上塗材を選択する。
 
2.足場の設置
必要に応じて足場を設置し、除去時に発生する粉塵や仕上塗材等が隣地に飛ばないようその外回りに防塵シートを張る。
 
3.環境条件の
  確認
施工する材料ごとに適切な温湿度を確認し、仕上塗材の乾燥に不適当な場合は、施工を行わない。ただし、採暖等を適切に行う場合は、この限りでない。(参考:参考文献1)
降雨、多湿等により結露のおそれのある場合又は強風時には、原則として行わない。(参考:参考文献1)
 
4.下地調整
既存塗膜等の除去(※3):既存塗膜等を除去する工法は、既存塗膜の種別、既存塗膜の劣化現象や劣化程度、改修範囲の条件を踏まえ、選択する。(参考:参考文献1、2)
部分除去の場合は、活膜(保護膜として機能している膜)を残す。
下地調整:粉化物、付着物等は、既存塗膜除去工法に応じた方法により除去し、清掃を行う。その後、下地及び仕上塗材に適合した下地調整塗材等により下地調整を行う。(参考:参考文献1、2)
部分除去の場合は、必要に応じて、除去した箇所を下地調整塗材等により、段差のないよう平らに仕上げる。
満足できる下地としては、水分10%以下、pH10以下(引用:参考文献2)であること。(※4)
 
5.塗付け
下塗材を、だれ、塗残しのないように均一に塗り付ける。
主材を、吹付け、こて、ローラー等により塗り付ける。
部分除去の場合は、下塗材及び主材で既存部分との模様合わせを行なう。
仕上塗材の仕様に適合した上塗材を塗り付ける。
 
6.養生
乾燥硬化が正常に進行するよう換気に配慮する。(引用:参考文献2)
雨水等を防ぐためにシート養生をする。(引用:参考文献2)
 
7.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。(参考:参考文献4)
・塗残しやムラなどがないことを確認する。
・仕上がりが均一であることを確認する。
防塵シートを取外し、足場を撤去の上、片付け・清掃を行う。
 
備考
・既存塗膜を全面除去することができれば、施工は新築工事に準じたものになる。(参考:参考文献3)
(※1)塗料を用いて外壁の塗装工事を行った後に発生した、塗膜のふくれ・割れ・はがれに適用する場合は、各構造共通TO-1-001による。
(※2)既存塗膜との適合性を確認したうえで、塗装面全体としての美観や性能を確保するために全面に上塗りだけを施工する場合がある。(参考:参考文献2)
(※3)既存塗膜の除去には、「サンダー工法」「高圧水洗工法」「塗膜はく離剤工法」及び「水洗い工法」がある。(参考:参考文献1、2)既存塗膜の除去に関する既往の技術的資料は少なく、各種工法の選定条件や適用条件等については標準化されていない。(一社)建築研究振興協会で実施された「高圧水洗による既存塗膜の除去に関する研究」の成果では、既存塗膜の種別、除去程度、施工費用、作業効率等を踏まえた各種工法の選定の目安が提案されている。(参考:参考文献2)
(※4)一般に含水率の測定方法には水分計、pH(水素イオン濃度)の測定には、pH指示薬溶液、pH試験紙、万能指示薬(ユニバーサルインジケーター)、pHコンパレーター等が用いられている。
 

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版[p79(4章4.1.3)、p119~127(4章6節) ] (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
2 建築改修工事監理指針 令和元年版(上巻)[p340~341(4章4.1.3)、p476~491(4章6節)](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
3 建築保全標準・同解説 JAMS4-RC 補修・改修設計規準ー鉄筋コンクリート造建築物[p97(4章4.2.8)] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会
4 建築保全標準・同解説 JAMS5-RC 補修・改修工事標準仕様書ー鉄筋コンクリート造建築物[p188(3章3.7.4)] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会