補修方法編

塗膜のふくれ・割れ・はがれ 屋根の塗料の塗替え(金属下地) TO-1-004
木軸・木枠・RC造・S造
工事概要
  • 不具合の生じた塗料の既存塗膜を除去して、新規に再塗装する工法である。
  • 既存塗膜を全面除去して施工する方法と、不具合部分のみを部分除去して再塗装する方法がある。

03_木補-軸12_TO-1-004_2_概念断面図_上_全面除去
既存塗膜を全面除去する場合

対応する不具合と原因 不具合
  • 塗膜のふくれ・割れ・はがれ(TO-1)
原因
  • 材料の選択不良、品質不良
  • 工法の選択不良
  • 不適切な環境条件における施工
  • 既存塗膜の除去等の不良
  • 施工方法の不良


03_木補-軸12_TO-1-004_2_概念断面図_下_部分除去
既存塗膜を部分除去する場合

塗替え補修後の概念断面図
(chord作成)
(合成樹脂調合ペイント(SOP)の例)
適用条件
  • 金属下地(鉄鋼面及び亜鉛めっき鋼面)に適用する。
  • 塗料を用いて屋根の塗装工事を行った後に発生した、塗膜のふくれ・割れ・はがれに適用する。
  • 金属下地に不具合がある場合は、補修工事によりその問題が取り除かれていることを確認した上で適用する。
  • 補修により、美観上の問題が生じないことが確認された場合に限り、適用する。(※1)
工事手順の例
1.事前調査  
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ふくれ・割れ・はがれ等の状況を確認し、工事計画を立てる。
不具合の発生状況に基づき既存塗膜の除去範囲や補修範囲を設定する。
意匠性、性能、経済性等を踏まえて仕様・工法を選定する。
既存塗膜を全面除去する場合は、塗装面となる下地との適合性を考慮して塗料を選択する。
部分除去する場合は、既存塗膜との適合性も考慮して塗料を選択する。
 
2.足場の設置
該当部分に足場を設置し、除去時に発生する粉塵や塗料等が隣地に飛ばないようにその外回りに防塵シートを張る。
屋根勾配が6寸以上の場合には、作業上の安全から屋根足場が必要とされる。
 
3.環境条件の
  確認
施工する材料ごとに適切な温湿度を確認し、塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない。ただし、採暖等を適切に行う場合は、この限りではない。(引用:参考文献1)
降雨のおそれのある場合又は強風時は、原則として、行わない。(引用:参考文献1)
 
4.下地調整
既存塗膜及びさびの除去(※2):既存塗膜及びさびをディスクサンダーやスクレーパー等により除去する。(参考:参考文献1、2)
部分除去の場合は、活膜(保護膜として機能している膜)を残す。
汚れ、付着物除去(※3):下地を傷付けないようにワイヤブラシ等で、汚れ、付着物を除去する。(参考:参考文献1、2)
油類除去:溶剤ぶきにより油類を除去する。(参考:参考文献1、2)
研磨紙ずり:研磨紙(P120~220)により、全面を平らに研磨し、研磨かす等を除去する。(参考:参考文献1、2)
 
5.塗装
塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り又は吹付け塗りのいずれかで行う。(参考:参考文献1、2)
既存塗膜除去の状況及び選択された塗料の塗装仕様に基づき、下塗り(さび止め塗料塗り)、中塗り、上塗りを行う。また、必要に応じて工程間で、穴埋め・パテかい、研磨紙ずりを行う。(参考:参考文献1、2)
塗料の塗付け量、標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を確認し、適切な塗装を行う。(参考:参考文献1、2)
 
6.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。(参考:参考文献5)
・塗残しやムラなどがないことを確認する。
・仕上がりが均一であることを確認する。
降雨時に浸水がないことを確認する。
止水を確認するまで仮設は撤去しないことが望ましい。
防塵シートを取外し、足場を撤去の上、片付け・清掃を行う。
 
備考
・屋根用塗料にはJIS K5675に規定されている塗料がある。(参考:参考文献3)
・既存塗膜を全面除去することができれば、施工は新築工事に準じたものになる。(参考:参考文献2)
(※1)既存塗膜との適合性を確認したうえで、塗装面全体としての美観や性能を確保するために全面に上塗りだけを施工する場合がある。(参考:参考文献4)
(※2)既存塗膜の除去は、塗膜の種類、劣化状況、素地の種類、形状、部位等によって最適な方法を選定し、効率的に行うことが重要である。除去方法には、「①電動工具(ディスクサンダー)による方法」「②手工具(スクレーパー、ワイヤブラシ、皮すき、研磨布(紙)による方法」「③ブラスト工法による方法」「④高圧洗浄」及び「⑤化学物質(はく離剤)による方法」がある。(参考:参考文献1、2)既存塗膜の除去に関する既往の技術的資料は少なく、各種工法の選定条件や適用条件等については標準化されていない。(一社)建築研究振興協会で実施された「高圧水洗による既存塗膜の除去に関する研究」の成果では、既存塗膜の種別、除去程度、施工費用、作業効率等を踏まえた各種工法の選定の目安が提案されている。(参考:参考文献6)
(※3)汚れ、付着物除去の方法は、汚れの種類等に応じて選択する。基本的な除去方法は、①払う、②水洗する、③洗剤で洗う、④薬剤で洗浄する、⑤「削る」「ぶつける」等により除去する。高圧水洗は3~15MPa程度の吐出圧力を有する高圧水洗機を用い、現場で試験施工を行って、要求される出来栄えに適した圧力で施工する。ワイヤブラシ等を併用した除去が有効である。(参考:参考文献1、2)
 

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版[p231~261(7章) ] (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
2 建築改修工事監理指針 令和元年版(下巻)[p22~28(7章1節)、p43~54、62(7章2節)](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
3 JIS K5675:2011屋根用高日射反射率塗料 田中正躬 (一財)日本規格協会
4 建築保全標準・同解説 JAMS4-RC 補修・改修設計規準ー鉄筋コンクリート造建築物[p82(4章4.2.7)] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会
5 建築保全標準・同解説 JAMS5-RC 補修・改修工事標準仕様書ー鉄筋コンクリート造建築物[p184(3章3.6.4)] (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
6 建築改修工事監理指針 令和元年版(上巻)[p478(4章6節](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター