補修方法編

塗膜のふくれ・割れ・はがれ 屋根の塗料の塗替え(スレート下地) TO-1-005
木軸・木枠・RC造・S造
工事概要
  • 不具合の生じた塗料の既存塗膜を除去して、新規に再塗装する工法である。
  • 既存塗膜を全面除去して施工する方法と、不具合部分のみを部分除去して再塗装する方法がある。

03_木補-軸12_TO-1-005_2_概念断面図_上_2021
対応する不具合と原因 不具合
  • 塗膜のふくれ・割れ・はがれ(TO-1)
原因
  • 材料の選択不良、品質不良
  • 工法の選択不良
  • 不適切な環境条件における施工
  • 既存塗膜の除去等の不良
  • 施工方法の不良
03_木補-軸12_TO-1-005_2_概念断面図_中_全面除去2021 既存塗膜を全面除去する場合

03_木補-軸12_TO-1-005_2_概念断面図_下_部分除去_2021 既存塗膜を部分除去する場合

 塗替え補修後の概念断面図
       (chord作成)
(スレート屋根用塗料(※2)の例)

(※1)スレートの重なり部分の塗膜
  が連続しないよう、縁切りを行
  い隙間を空けることで、通気を
  新築施工時と同じ状態にする。
適用条件
  • スレート下地(住宅屋根用化粧スレート)に適用する。
  • 塗料を用いて屋根の塗装工事を行った後に発生した、塗膜のふくれ・割れ・はがれに適用する。
  • スレート下地に不具合がある場合は、補修工事によりその問題が取り除かれていることを確認した上で適用する。
  • 補修により、美観上の問題が生じないことが確認された場合に限り、適用する。(※3)
工事手順の例
1.事前調査  
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ふくれ・割れ・はがれ等の状況を確認し、工事計画を立てる。
不具合の発生状況に基づき既存塗膜の除去範囲や補修範囲を設定する。
意匠性、性能、経済性等を踏まえて仕様・工法を選定する。
既存塗膜を全面除去する場合は、塗装面となる下地との適合性を考慮して塗料を選択する。
部分除去する場合は、既存塗膜との適合性を考慮して塗料を選択する。
 
2.足場の設置
該当部分に足場を設置し、除去時に発生する粉塵や塗料等が隣地に飛ばないようにその外回りに防塵シートを張る。
屋根勾配が6寸以上の場合には、作業上の安全から屋根足場が必要とされる。
 
3.環境条件の
  確認
施工する材料ごとに適切な温湿度を確認し、塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない。(引用:参考文献1)
降雨のおそれのある場合又は強風時は、原則として、行わない。(引用:参考文献1)
 
4.下地調整
既存塗膜の除去:既存塗膜を高圧洗浄やワイヤブラシ等により除去する。
部分除去の場合は、活膜(保護膜として機能している膜)を残す。
汚れ、付着物除去:下地の水洗いを実施し、汚れ、付着物を除去する。
下地調整が不十分だと塗膜剥離の原因や、光沢が出ない、などの仕上がり不良に結びつく事があるので、調整は十分行う。
必ず高圧水洗かブラシなどによる水洗いを実施し、付着物や劣化塗膜を十分に除去する。
水洗い後は1日以上乾燥させる。スレートの表面が雨、露などで濡れている場合は、十分に乾燥させてから塗装する。未乾燥で塗装すると、ふくれ、割れ、はがれの原因になる。
 
5.塗装
塗装方法は、はけ塗り、ローラーブラシ塗り又は吹付け塗りのいずれかで行う。(参考:参考文献1、2)
既存塗膜除去の状況及び選択された塗料の塗装仕様に基づき、下塗り、中塗り、上塗りを行う。(参考:参考文献1、2)
塗料の塗付け量、標準工程間隔時間及び標準最終養生時間を確認し、適切な塗装を行う。(参考:参考文献1、2)
 
6.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
塗残しやムラなどがないことを確認する。(参考:参考文献5)
仕上がりが均一であることを確認する。(参考:参考文献5)
塗装後、水切り部でスレート材の上下の重なり部分に塗料が付着し、詰まると漏水の原因となるため、塗料が付着し詰まっている箇所は、皮すき、ケレン棒、カッターなどを用いて、溜まった塗料を除去し、隙間を空けること。((※1)概念断面図参照)また、下塗りの後に縁切り用部材を隙間に挟み上塗りを行うことで雨水の浸入を防ぐこともできる。
降雨時に浸水がないことを確認する。
止水を確認するまで仮設は撤去しないことが望ましい。
防塵シートを取外し、足場を撤去の上、片付け・清掃を行う。
 
備考
・既存塗膜を全面除去することができれば、施工は新築工事に準じたものになる。(参考:参考文献2)
(※2)屋根用塗料にはJIS K5675に規定されている塗料がある。(参考:参考文献6)
(※3)既存塗膜との適合性を確認したうえで、塗装面全体としての美観や性能を確保するために全面に上塗りだけを施工する場合がある。(参考:参考文献4)
 

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版[p231~233(7章1節) ] (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
2 建築改修工事監理指針 令和元年版(下巻)[p22~28、62(7章1節)](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
3 戸建て住宅塗り替えのノウハウ[p70] (一社)日本塗装工業会 (株)塗料出版社
4 建築保全標準・同解説 JAMS4-RC 補修・改修設計規準ー鉄筋コンクリート造建築物[p82(4章4.2.7)] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会
5 建築保全標準・同解説 JAMS5-RC 補修・改修工事標準仕様書ー鉄筋コンクリート造建築物[p184(3章3.6.4)] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会
6 JIS K5675:2011 屋根用高日射反射率塗料 田中正躬 (一財)日本規格協会