補修方法編

床の傾斜 根太掛けの補修 F-1-112
木軸
工事概要

釘が短いために下がった1階の根太掛けを打ち直し、根太の下りを補正する。


根太掛けの下がりによる不具合の例
(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 床振動(V-1)
原因
  • 床組構成部材の断面寸法等の不足、配置・間隔の不良、架構・接合方法の不良、材料の選択不良、品質不良
適用条件
  • 大引き下に40㎝程度以上の空間があること。(*1)
工事手順の例
(床下からの施工の場合)
1.事前調査
現場調査により、上記適用条件と根太掛けの状況を確認する。
  • 当該床下に到達できる範囲に点検口がない場合には、床面に進入口を新設し、補修後も点検口として使用できるようにする。
2.養生
資材搬入口から進入口までの経路および3.の取り外す内壁周りの床や壁等を養生する。
3.内壁の取り外し
床の下がった部分の巾木・ボードを取り外し、床が抵抗なく上がるようにする。
4.根太掛けの施工
幅木の上端に水糸を張る。
根がらみを取り外し、点検口から当該床下までの経路を確保する。
根太掛けを取り外す。(再利用するため、丁寧に釘を抜く。)
根太から下向きに出ている釘(根太を根太がけに留めつけていた釘)を切り取る。
根太掛けを裏返しにして根太にくぎで留め付ける。
地盤より適当な長さの飼木により持ち上げる。水糸または土台との間隙を測定し、レベルを調整しながら、位置決めをする。
根太掛けを間柱毎に留め付ける。留め付けは既設の釘よりも太く長いもの、または木ねじを使用する。
  • 木ねじは床下での作業性が良い。ただし、径を確認し、十分な性能があることを確認したものを使用する。

根太掛けの補修例(chord作成)
5.内壁の補修
床レベルが適正であることを確認し、幅木、ボード、壁紙等を復旧する。(壁紙の張り替えは壁の全面)
根がらみを復旧する。
1.にて床下への進入用の開口を新たに設けた場合には、適切な断熱・気密性能がある点検口とする。
6.最終確認
水準器を用いて、床仕上げ面の水平を確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
片付け・清掃を行なう。
  • 床下の木片などは蟻害の要因になるため確実に撤去する。
備考
(*1)大引き下寸法が40cm程度以下の場合、施工精度の確保が困難な場合または床鳴りの発生が予測される場合は、床上からの施工となり、以下の工事手順が3と4、4と5の間に追加される。
3’.床材の撤去
補修箇所の周りの幅90cm程度の床仕上材、下地板、根太を取り外す。
4’.床材の張り直し
取り外した根太を取り付け直す。
撤去した下地材を張り替える。
床仕上材を居室単位で張り替える。
  • 2階の根太掛の場合は、上階巾木、壁、下階天井の取り外しが必要になる。

施工上の注意点
  • 必要に応じて、補修部まわりの断熱材等を取り外し、復旧時に断熱・気密の連続を確保する処理を行う。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所