補修方法編

床の傾斜 束石の再設置 F-1-503
木軸・木枠
工事概要

沈下した束石を再設置する。


概要図(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床鳴り(F-3)
  • 床振動(V-1)
原因
  • 地盤条件設定の不適合
  • 敷地地盤等の変状
  • 施工方法の不良
適用条件
  • 基礎の沈下が進行していないことが専門家の調査等により確実である場合に、適用可能な方法である。
  • 大引き下40㎝程度以上の床下空間があること。(*1)
  • 床下に防湿コンクリート等が打込みされていない場合に、適用可能な方法である。
工事手順の例
(床下からの施工の場合)
1.事前調査  
現場調査により、上記適用条件と束石の沈下状況を確認する。
  • 当該床下に到達できる範囲に点検口がない場合には、床面に点検口を新設し、補修後も点検口として使用できるようにする。
2.養生
資材搬入口から進入口までの経路となる床や壁等を養生する。
3.束石の据え付け
根がらみを取り外し、点検口から当該床下までの経路を確保する。
交換する束石の付近に飼木を飼い、正規のレベルまで上げ、仮支持する。
当該箇所の根がらみを取り外し、沈下した束および束石を除去する。
大引き下端に水糸を張る。
束石まわりの地盤を60㎜×350角程度掘り下げ、固化剤を土と混ぜ合わせた上で、大ハンマー等で突き固める。
固練りのコンクリートを敷き込む。(*2)
200×200×200㎜程度の束石を水平に据える。
7日目に束石と水糸までの高さの束を押し込みながら取り付ける。(大引き下端の水糸に合せる。)
4.根がらみの復旧
根がらみを復旧する。
1.にて床下への進入用の開口を新たに設けた場合には、適切な断熱・気密性能がある点検口とする。


                         
03_木補-軸02_F-1-503_2_図.jpg03_木補-軸02_F-1-503_5_4_図R.jpg

床組・大引きの継ぎ手(引用:参考文献1)
5.最終確認
水準器を用いて、床仕上げ面の水平を確認する。
工事全体の仕上がりを確認する。
片付け・清掃を行なう。
  • 床下の木片などは蟻害の要因になるため確実に撤去する。
備考
(*1)大引き下寸法が40cm程度以下の場合、施工精度の確保が困難な場合または床鳴りの発生が予測される場合は、床上からの施工となり、以下の工事手順が2と3、4と5の間に追加される。
2’.床材の撤去
補修箇所の周り1.8m四方程度の床仕上材、下地板、根太を取り外す。
4’.床材の張り直し
取り外した根太を取り付け直す。
撤去した下地板を張り替える。
床仕上上材を居室単位で張り替える。
(*2)一般的には突き固めた地盤に直接束石を据えるが、集中荷重を考慮して、束石の下に土壌固化剤および固練りコンクリートを使用する。

施工上の注意点
  • 床下地盤が充分に乾燥しておらず湿気の多い場合は、防湿シートを敷き込むなど(木造(共通)・S造W-3-602参照)の措置が必要である。
  • 床下に防湿シートが敷き込まれている場合は、それらの復旧を注意深く行う必要がある。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 木造住宅工事仕様書 2021年版[p115(参考図5.8,参考図5.8.1)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院