補修方法編

基礎のひび割れ・欠損 シール工法 K-2-602
木軸・木枠・S造
工事概要
  • 躯体コンクリートやセメントモルタル層の幅が狭く、浅いひび割れの止水を図るためにひび割れに沿ってシール材を塗布する工法である。
  • 補修後の外観がそのままではよくないが、簡易的に雨水の浸入を防止する。(参考:参考文献4)

03_木補-軸01_K-2-602_2_図_概念断面.jpg概念断面図(単位:mm)
(chord作成、参考:参考文献4)

03_木補-軸01_K-2-602_2_図_手順(a).jpg


清掃

03_木補-軸01_K-2-602_2_図_手順(b).jpg



プライマー塗布

03_木補-軸01_K-2-602_2_図_手順(c).jpg



シール材塗布

03_木補-軸01_K-2-602_2_図_手順(d).jpg



平滑仕上げ



シール工法の手順(引用:参考文献1、参考文献5)
対応する不具合と原因 不具合
  • 基礎のひび割れ、欠損(K-2)
  • 降雨による漏水(W-1)
原因
  • 基礎の配筋方法の不良(配筋位置のずれ等)
  • 柱脚接合部の配筋の納まり等の不良
  • 床下換気口等、開口部補強等の補強筋の不良
  • コンクリートの打込み・締固め、養生不良
  • 工事中の一時的な過荷重の積載
適用条件
  • 専門家の調査により、ひび割れの原因となる問題が取り除かれていることを確認した場合に適用する。
  • ひび割れ幅が0.2mm未満程度の場合に適用する。(参考:参考文献1)
  • ひび割れが挙動(進行)しない場合はパテ状エポキシ樹脂(JIS A6024)を、ひび割れが挙動(進行)する場合は可とう性エポキシ樹脂(JIS A6024)を使用する。
  • 補修により、美観上の問題が生じないことを確認した場合に限り適用する。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ひび割れの状況を確認し、工事計画を立てる。
プライマー・シール材の選定を行う。

2.仕上材等の撤去
施工する基礎回りの地盤を10~15㎝程度掘り下げる。
必要な場合は、施工範囲をシート等で養生する。
外装仕上材を撤去し、コンクリート表面を露出させる。
3.下地の処理
コンクリートの表面をワイヤーブラシ等で荒らすと共に、表面の付着物を取り除き水洗いなどで清掃した後、乾燥させる(a)。
4.シール材の塗布
シール材をパテヘラ等で幅10㎜、厚さ2㎜程度に塗布し(c)、平滑に仕上げる(d)。(参考:参考文献1、参考文献5)可とう性エポキシ樹脂を使用する場合は、あらかじめプライマーを使用する(b)。(参考:参考文献5)
ひび割れが挙動(進行)する場合は、ひび割れに沿って幅10~15㎜の絶縁材を張り付け、この上にシール材を塗布する。
シール工法の手順(引用:参考文献1、参考文献5)

シール材の上に塗装を行う場合には、塗膜が接着しやすいように、またシール材の跡が目立たなくするためシール材施工直後けい砂(5~6号)散布して粗面にする。


5.仕上材等の復旧
仕上材等の復旧を行う。
6.最終確認
工事の仕上がりを確認する。
仮設、養生シート等を撤去し、後片づけ、清掃を行う。
備考
  • 応急的な漏水補修として有効であるが、改修後に改修材料が表面に露出する他シール層が薄いため、長期的な耐久性は期待しにくいことを留意する必要がある。(参考:参考文献6)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)[p350, p380,p388~389](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
2 鉄筋コンクリート造建築物の耐久性向上技術[p166~170](建設大臣官房技術調査室) (財)国土開発技術研究センター 建築物耐久性向上技術普及委員会 技報堂出版(株)
3 コンクリートのひびわれ調査,補修・補強指針(2022)[p122~123] (公社)日本コンクリート工学会 (公社)日本コンクリート工学会
4 外壁仕上げの損傷事例 原因と対策[p26] 日本建築仕上学会 (株)技術書院
5 打放しコンクリート外壁の補修・改修技術[p107~108](建設大臣官房技術調査室) 外装仕上げおよび防水の補修・改修技術出版企画編集委員会
(財)日本建築センター
(財)建築保全センター
(財)日本建築センター
(財)建築保全センター
6 建築改修設計基準及び同解説【絶版】平成11年版[p61](建設大臣官房官庁営繕部) (財)建築保全センター (財)建築保全センター