補修方法編

降雨による漏水 防水層および水切り部シーリングの再施工 W-1-512
木軸・木枠
工事概要

ひび割れ等の生じた既存防水層を撤去した上で、新しい防水層を施工する。水切り部分にシーリングを再施工する。ドレインのつまり等によるオーバーフローの危険防止のためのオーバーフロー排水管を設置する。


防水層および水切り部シーリングの補修例(図は木造軸組工法の場合)(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
    <バルコニーの外壁取り合い部などからの漏水>
原因
  • バルコニーの排水不良、防水立上がり不良
  • 防水層の不良、下地の不良
適用条件
  • 対象部分の下地と新しく施工する防水層相互の接着が良好な場合に、適用可能な方法である。

(全景)

(近景)
下地板突合せに沿い直線状に防水層が破断した例(引用:参考文献4)
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場での事前調査により、適用条件、施工範囲、及び施工状況等を確認する。
2.既存防水層等の撤去
不具合の原因となる範囲の既存防水層(シーリング、水切金物も含む)を撤去する。
断熱材等が雨水の浸入により水を吸収し、断熱性能が低下していないかどうかを確認する。
3.下地調整、清掃
下地板の材質および水勾配を確認する。
下地(合板等)に不良箇所がある場合は、下地部分を撤去し、補修を行う。下地板を2枚以上重ねる場合は継目が重ならないようにする。
下地面を平滑に処理し、清掃する。
下地の乾燥状態および表面状態を確認する。
4.防水層施工
下地に合った適切なプライマーを塗布する。
防水層を形成し、下地へ全面接着する。
水切り金物を取り付ける。

03_木補-軸08_W-1-512_5_4_図.jpg
バルコニー床防水の例(引用:参考文献1)
5.オーバーフロー管の設置
  • 満水による漏水の危険性を避けるために、オーバーフロー管を設ける場合もある。
  • その場合、オーバーフロー管は、最も低い防水層立上り上端より低い位置に設けること。(参考:参考文献1)
6.シーリング
防水層立上り端部、サッシ回り、ドレイン回り、オーバーフロー管回りのシーリング処理を施工する。(参考:参考文献1)
7.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
片付け・清掃を行う。
水張り試験により止水確認を行う。
オーバーフロー管が有効かどうかも確認する。
備考

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 木造住宅工事仕様書 2021年版[p121~123(5.10)、p175~178(8.15)、p177参考図8.15-1] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院
2 まもりすまい保険設計施工基準・同解説(2019年版)(第2版)[p41~46] 住宅瑕疵担保責任保険法人 住宅保証機構(株) 住宅瑕疵担保責任保険法人 住宅保証機構(株)
3 FRP防水工事施工指針・同解説 平成22年第2版[p21~23、64、65] (社)日本建築学会 (社)日本建築学会
4 FBK調査報告 経年劣化および不具合の事例 <FRP防水に現れる事象>(2022年4月 第3版)[p12] FRP防水材工業会 FRP防水材工業会