補修方法編

基礎のひび割れ・欠損 増し打ち補修 K-2-404
S造
工事概要

ひび割れや欠損、爆裂等で損傷し、耐力劣化した基礎梁に対して劣化部分を除去・補修した上で、断面寸法を増やす形でコンクリートを増し打ちし、断面修復する工法。


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補助筋は柱脚コンクリートへは
定着しない。(※1)


工事概要図(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 基礎のひび割れ、欠損(K-2)
原因
  • 基礎梁の配筋方法の不良(配筋位置のずれ等)
  • 柱脚接合部の配筋の納まり等の不良
  • 床下換気口等、開口部補強等の補強筋の不良
  • コンクリートの打込み・締固め、養生不良
適用条件
  • 補修工事に伴う荷重の変動を考慮した長期荷重によって既存の全ての架構に生ずる力が長期許容応力度内に収まっており、原則として躯体コンクリートに不良箇所がない場合に適用が可能である。
  • 断面欠損部等の修復、かぶり厚確保等を目的とする場合に適用可能である。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ひび割れ・欠損等の状況を確認し、工事計画を立てる。
2.仕上材等の撤去
施工範囲の床仕上材・下地材を撤去する。(※2)
基礎梁の表面仕上材を撤去する。
基礎梁周辺を根切る。
3.損傷部の補修
ぜい弱部をはつり取り、健全なコンクリート下地を出す。(参考:参考文献1)
  • はつり取る際は、鉄筋を傷付けないよう慎重に行う。
鉄筋が露出している場合は、さびを除去し、防せい処理を施す。鉄筋の露出はないが発せいが推測される場合は、コンクリートをはつり取って鉄筋を露出させて、さびを除去する。
ひび割れがある場合は樹脂注入工法で補修する。(S造K-2-401参照)
必要な場合には添え鉄筋、配筋を行う。
4.基礎梁増し打ち・養生(参考:参考文献1)
既存基礎梁の増し打ち部分の面目荒らし、あと施工アンカー施工。
鉄筋工事
型枠工事
コンクリートの打込み・締固め
  • 数量が多い場合は、生コンクリートを使用する。少ない場合は現場調合コンクリートを使用する。
養生
  • 1週間以上コンクリートを養生する。(寒冷期においては、コンクリートを寒気から保護し、打込み後5日間以上はコンクリートを2℃以上に保つこと。)
5.型枠取り外し・埋戻し
コンクリート強度を確認し、型枠を解体・撤去する。
コンクリート打込み口の不要な突出部を斫り取り整形する。
埋戻しを行う。
6.仕上等の復旧
撤去した仕上材等の復旧を行う。(※2)
7.最終確認
工事の仕上りを確認する。
仮設・養生シートなどを撤去し、後片付け、清掃を行う。
備考
  • あと施工アンカーの使用は、基礎梁と増し打ち部のはく離防止のためで、平17国交告第566号第4第1項第三号に準ずる。
  • 打込みするコンクリートは躯体と同じ仕様のコンクリートで、建物の設計基準強度以上であること。
  • 鉄筋のかぶり厚さ程度の増し打ちでは、型枠内に無収縮モルタルを圧入する工法もある。(S造K-2-405基礎梁表層面の打直し補修参照)
  • 本施工に伴い、給排水設備等の切断、再接続工事が発生する場合がある。
(※1)本工法は、基礎梁の強度を上げる補強ではないので、補助筋は柱脚コンクリート
に定着しない。
(※2)基礎の沈下修正工事と併用する場合は、工事内容が重複するので注意すること。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版[p32~48,p59~67](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一社)公共建築協会 (一社)公共建築協会
2 「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」 国土交通省住宅局建築指導課 国土交通省 HP
3 建築改修工事監理指針 令和4年版(下巻)[8章12節あと施工アンカー工事](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
4 各種合成構造設計指針・同解説(第2版)[第4編各種アンカーボルト設計指針] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会
5 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版[8章12節あと施工アンカー工事](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター