補修方法編

降雨による漏水 竪どいの増設 W-1-601
木軸・木枠・S造
工事概要

といの適切な排水能力を確認し、竪どいを増設する。


不具合の例(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
    <といの排水のあふれによる漏水>
原因
  • 竪どいの箇所数の不足による排水不良
適用条件
  • 十分な施工スペースが確保できること。
  • 増設する竪どいと既存の排水管との接続が可能であること。排水桝の増設が必要な場合、増設が可能であり、排水上支障が生じないこと。
工事手順の例
1.事前調査
といの適切な排水能力を確認し、竪どいの増設箇所の検討を行う。
  • 製造所の技術資料等を参照し、地域別の降雨量、屋根投影面積・屋根面に接続する壁面積、軒どい・竪どいの排水量より、適切な排水能力を確認する。
当事者からのヒアリングや現場の原因調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
2.といの一部の取り外し
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
竪どいの増設箇所回りの軒どいを取り外す。
  • 必要に応じて漏水による汚れ、劣化の影響範囲の補修を行う。
3.竪どいの増設
竪どいの増設箇所回りの軒どい、受け金物等を竪どいの増設に合わせ加工、調整し、必要な軒どいの勾配が確保できているかを確認する。
竪どいのとい受け金物は、製造所の仕様により取り付ける。
  • とい受け金物は、といの材料に応じて、適合する間隔に取り付ける。竪どいの継手は、といの材料に応じた継手を用い、接合する。必要に応じて、下がり止め、ずれ止め等を取り付ける。(参考:参考文献1)
  • とい受け金物をくぎで打込む場合は、とい受け金物(※)を伝って外壁の内側に水が浸入しないよう、外勾配に取り付ける。
とい受け金物と外壁の境、周辺部をシーリングする。
竪どいをとい受け金物に取り付ける。
竪どいの下部は、落としどいとし、排水管に落とし込む。排水桝が必要な場合は、排水上支障がないことを確認し、増設する。
4.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
片付け・清掃を行う。
屋根面から水を流し、適切に排水されていることを確認する。降雨時に漏水がないことを確認する。
足場、養生等の撤去を行う。
  • 止水を確認するまで仮設は撤去しないことが望ましい。
備考
(※)本補修において、くぎで打込む場合のとい受け金物とは下図のような汎用的なものをいう。下図のとい受け金物のほかに、製造所では、竪どいに応じて専用のとい受け金物を用意している場合が多い。専用のとい受け金物を使用する場合は製造所の仕様により取り付ける。

くぎで打ち込む場合のとい受け金物の例(引用:参考文献1)
  • 竪どいと排水管を直結した場合、温度差により竪どいの伸縮がとれなくなり、じょうごや軒どいを突き上げたり、引き下げたりするため、伸縮を吸収できるよう配慮する。
  • 排水を阻害する落ち葉等の異物の浸入を防ぐために、落とし口に金網またはドレーン等を設ける場合がある。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 木造住宅工事仕様書 2023年版[p150~151(6.10)、p152(参考図6.10)] (独)住宅金融支援機構 (株)井上書院
2 建築工事標準仕様書・同解説 JASS12 屋根工事(2023)[14節 とい(樋)p343~374] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会