補修方法編

降雨による漏水 防水立上がりの確保 W-1-702
S造
工事概要

バルコニーの掃き出し開口部の防水立上がりを確保するため、サッシを取り外し、サッシ下コンクリート立上がりを打込み、バルコニー防水を再設して所定の防水立上がりをとる。

(補修前)
(補修後)

工事概要の例(引用:参考文献1)
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
原因
  • 水切り、防水層、シーリング材等の設計・品質・施工不良
適用条件
  • バルコニー下が居室でスラブレベル差がなく、アスファルト防水層を行なっている場合に適用可能な工法である。
  • サッシ寸法を縮めても採光等の法的条件を満たせる場合に適用可能である。
  • アスファルト防水層の破断等による漏水ではないこと。
  • サッシ上枠・横枠からの漏水ではないこと。
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場での原因調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
漏水の状況・原因を確認する。
バルコニー仕上げ面からサッシ皿板の高さが50mm程度以上確保できるよう立上がり高さを設定する。
2.サッシ、内装仕上材、アスファルト防水層の撤去
サッシ回りの室内側枠、幅木回りを取外しサッシを撤去する。
バルコニーの押えコンクリート、アスファルト防水層は重ね張りできる範囲を残して撤去する。
3.立上がりコンクリートの打込み・締固め
コンクリートスラブ面の目荒らしを行なった後、あと施工アンカーを打ち配筋する。
型枠を設け、立上がりコンクリートを打込み、養生する。
4.サッシの取付け
立上がり高さを考慮した高さ寸法を縮めたサッシをアンカー筋に溶接して取り付ける。
5.アスファルト防水施工
撤去した範囲のアスファルト防水(トーチ工法2層程度)を再施工する。
  • 既設アスファルト防水層との重ね代に注意して立上がりコンクリートの天端まで増し張りし、防水層端部をシーリングする。
6.サッシ枠回りのモルタル充填
サッシ枠と躯体コンクリート、立上がりコンクリートの間にモルタルを密実に充填する。
7.アスファルト防水端部処理
アスファルト防水層とサッシ枠下端との間をシーリングする。
8.一次止水確認
シーリング材の乾燥後、一度軽く水をかけて止水効果を確認する。
9.押えコンクリート施工
バルコニー側より、撤去した部分の押えコンクリートを再施工する。
10.ウレタン塗布
押えコンクリートを充分乾燥させた後、既設ウレタン塗床を含め全面にウレタンを塗布する。
(注)ウレタン塗床を行わない場合もある。
11.内外装仕上げの復旧及び施工
撤去した外装仕上げ(シーリング材を含む)、内装仕上げを復旧する。
ウレタン塗床とサッシ金物との間にシーリングを行う。

施工例(引用:参考文献1)
12.最終確認
降雨時に浸水がないことを確認する。
備考
  • 外部床面とサッシ水切り下端との間隔がほとんどない場合(50㎜程度以下)には、採光条件・使い勝手に支障がなければ、サッシの下端取付け位置を上げて、防水層の立上がりを十分にとることが重要である。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 水にまつわるトラブルの事例・解決策<建築編>[p139] 「建築漏水」編集委員会 (株)学芸出版社