補修方法編

基礎のひび割れ・欠損K-2
S造

原 因 不具合事象の発生している基礎の種類 補修方法 シートNo.
(シートNo.群)
補修工事の特性 居住条件
(「基礎の沈下」の原因) 基礎 「基礎の沈下」を参照して、
「基礎の沈下」の発生原因に対応した補修を実施し、併せて基礎のひび割れ、欠損の補修を行う
(K-1)
基礎・基礎梁の配筋方法の不良(配筋の位置のずれ等) 基礎コンクリート 基礎の撤去および新設 K-1-401 ひび割れ(・欠損)の補修は、ひび割れ(・欠損)の原因が構造耐力上の問題によらない場合に適用する。また、 原因が構造耐力上の問題による場合は、補修工事の実施によりその問題が取り除かれていることが専門家の調査により確認された場合に限り適用する。
1.0㎜程度までの挙動(進行)がないひび割れ*には、樹脂注入工法、挙動(進行)のあるひび割れ*及びひび割れ幅が1.0㎜を超える場合にはUカットシール材充填工法の 採用が一般的である。欠損部に対しては充填工法の採用が一般的である。鉄筋の腐食を伴う大きな損傷の場合にはコンクリートの打直しも想定される。
樹脂注入工法 K-2-401
Uカットシール材充填工法 K-2-601
シール工法 K-2-602
充填工法 K-2-402
打直し工法 K-2-403
増し打ち補修 K-2-404
基礎表層面の打直し補修 K-2-405 B
基礎・基礎梁の断面寸法の不良

基礎の配置・間隔不良
基礎コンクリート (専門家と個別に相談を行い、補修方法を決定する。)
コンクリート及び杭の規格不適・品質不良 基礎コンクリート (専門家と個別に相談を行い、補修方法を決定する。)
基礎の補強筋の不良 基礎コンクリート 基礎の撤去および新設 K-1-401
柱脚接合部の配筋の納まり等の不良 基礎コンクリート 樹脂注入工法 K-2-401 ひび割れ(・欠損)の補修は、ひび割れ(・欠損)の原因が構造耐力上の問題によらない場合に適用する。また、 原因が構造耐力上の問題による場合は、補修工事の実施によりその問題が取り除かれていることが専門家の調査により確認された場合に限り適用する。
1.0㎜程度までので挙動(進行)がないひび割れ*には樹脂注入工法、欠損部には充填工法の採用が考えられる。
Uカットシール材充填工法 K-2-601 C
シール工法 K-2-602 C
充填工法 K-2-402 C
増し打ち工法 K-2-404 B
基礎表層面の打直し補修 K-2-405 B
柱脚接合部の構造計画の不良

柱脚部アンカーボルトのかぶり厚さ不足
基礎コンクリート (専門家と個別に相談を行い、補修方法を決定する。)
床下換気口等、開口部補強等の補強筋の不良 基礎コンクリート 基礎の撤去および新設 K-1-401 ひび割れ(・欠損)の補修は、ひび割れ(・欠損)の原因が構造耐力上の問題によらない場合に適用する。また、 原因が構造耐力上の問題による場合は、補修工事の実施によりその問題が取り除かれていることが専門家の調査により確認された場合に限り適用する。
1.0㎜程度までので挙動(進行)がないひび割れ*には、樹脂注入工法、挙動(進行)のあるひび割れ*及びひび割れ幅が1.0㎜を超える場合にはUカットシール材充填工法の採用が一般的である。 欠損部に対しては充填工法の採用が一般的である。
樹脂注入工法 K-2-401
Uカットシール材充填工法 K-2-601
シール工法 K-2-602
充填工法 K-2-402
打直し工法 K-2-403
増し打ち補修 K-2-404
施工方法の選択不良 基礎コンクリート (専門家と個別に相談を行い、補修方法を決定する。)
コンクリートの打込み・締固め、養生不良 基礎コンクリート 基礎の撤去および新設 K-1-401 A
樹脂注入工法 K-2-401 C
Uカットシール材充填工法 K-2-601 C
シール工法 K-2-602 C
充填工法 K-2-402 C
打直し工法 K-2-403 C
増し打ち補修 K-2-404 B
基礎表層面の打直し補修 K-2-405 B
工事中の一時的な過過重の積載 基礎コンクリート 樹脂注入工法 K-2-401 C
カットシール材充填工法 K-2-601 C
シール工法 K-2-602 C
仕上材の施工不良

下地処理の不良
仕上げモルタル モルタルの塗替え K-2-603 仕上材の全面にひび割れが発生している場合等には、既設モルタルを剥がし、塗り替える手法も想定される。






*参考:建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)p365 表4.2.1
参考 基礎・地盤等の補修方法の選択に関する情報提供(S造 補修方法編)
基礎の補修に当たっては、まず、各部の損傷の状況と基礎及び地盤の沈下状況、基礎の構造方法と地盤条件の関係などを考慮して、沈下の要因を明確にすることが重要である。沈下修正に要する費用は、他の部位の修復と比較して一般に高額になることが多く、また補修方法の選択によっては補修の効果や費用も大きく異なる場合があるので、適切な調査と診断に基づいて補修方法を合理的に設定しなければならない。
既存擁壁の安定性が乏しい場合や新規の盛土地盤などの場合は、沈下修正工事によって一時的に補修できたとしても、時間の経過により不同沈下や傾斜が再度発生することもあるので、地盤条件や敷地の生い立ちなどの詳細を把握することが重要である。沈下の要因が、周辺の擁壁などの影響による場合は、住宅のみの補修では本質的な補修にならないことがあるので注意が必要である。沈下状況の評価に際しては、剛体としての基礎・床の傾斜や変形・歪みを伴う基礎の傾斜の双方を求めることが重要であり、基礎の一体性や基礎のひび割れの発生位置などを考慮して計測位置を適切に定めなければならない。
下図は、基礎の沈下を補修する方法として本書に記載された工法の適用条件等をまとめ、工法選択に際して、参考となる目次として作成したものである。なお、補修工法、補修費用、建物の使用性によっては、この目次を参考にすることが適切でない場合がある。