補修方法編

基礎のひび割れ・欠損 基礎梁表層面の打直し補修 K-2-405
S造
工事概要
  • 基礎梁の欠損部分等の断面修復を行う。
  • 基礎梁の増し打ち補修(S造K-2-404)よりも、コンクリートの不具合が小さく、深さもあばら筋までとする。
09_S補-01_K-2-405_2_図.jpg工事概要図(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 基礎のひび割れ・欠損(K-2)
原因
  • 基礎梁の配筋方法の不良(配筋位置のずれ等)
  • 柱脚接合部の配筋の納まり等の不良
  • コンクリートの打込み・締固め、養生の不良
適用条件
  • 補修工事に伴う荷重の変動を考慮した長期荷重によって既存の全ての架構に生ずる力が長期許容応力度内に収まっており、原則として躯体コンクリートに不良箇所がない場合に適用が可能である。
  • かぶり厚さの確保等を目的とする場合に適用が可能である。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ひび割れ・欠損等の状況を確認し、工事計画を立てる。
2.仕上材等の撤去
施工範囲の床仕上材・下地材を撤去する。
基礎梁周辺を根切る。
3.準備
脆弱部をはつり取り、健全なコンクリート下地を出し、又、目荒らしを行う。
鉄筋が露出している場合はさびを除去し、防せい処理を施す。
4.ひび割れ補修
基礎梁に構造ひび割れがある場合は、樹脂注入工法により補修する。(S造K-2-401参照)
5.欠損部の補修と清掃
欠損部が大きい箇所は充填工法に基づいてエポキシ樹脂モルタル(又はポリマーセメントモルタル)を充填する。(S造K-2-402参照)
プライマーを塗布する。
基礎梁表層面の打ち直し箇所の面目荒らしを行い、表面を清掃する。
6.型枠の加工・組立
セパレータを延長して型枠を組み立てる。
グラウト材が漏れないように、漏れ防止処理を行う。
型枠にモルタル注入孔を設置する。型枠上部を塞ぐ場合は空気抜きを設置する。
7.グラウト材の圧入・養生
グラウト材を混錬する。グラウト材はセメント系無収縮材を使用し、強度は既存コンクリートと同等以上とする。
グラウト材をポンプで注入する。注入時の圧送量、注入圧力に十分注意する。グラウト材が打込み時の衝撃で分離しないように十分注意する。
注入されたグラウト材の養生時の温度および養生期間は、グラウト材製造メーカーの仕様に基づくものとし、この養生期間(5日~7日間程度)は原則として型枠を残すことが望ましい。(参考:参考文献2)
8.型枠取り外し・埋戻し
型枠を解体・撤去する。
埋戻しを行う。
9.仕上材等の復旧
型枠撤去後、撤去した仕上材等の復旧を行う。
10.最終確認
工事全体の仕上りを確認する。
仮設・養生シートなどを撤去し、後片付け・清掃を行う。
備考
  • 本施工に伴い、給排水設備等の切断、再接続工事が発生する場合がある。
  • 基礎梁の増厚の厚さが大きい場合は、はく離防止の措置を行うこと。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築工事監理指針 令和4年度(上巻)[p477~483](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一社)公共建築協会 (一社)公共建築協会
2 建築改修工事監理指針 令和4年版(下巻)[p495~498](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター