補修方法編

外壁のひび割れ・欠損 充填工法 G-2-304
RC造
工事概要

コンクリート表面のはがれ、はく落の生じている欠損部にエポキシ樹脂モルタル(又はポリマーセメントモルタル)を充填する工法である。(参考:参考文献2,参考文献4)

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エポキシ樹脂モルタル充填の場合
(引用:参考文献2,参考文献4)



ポリマーセメントモルタル充填の場合
(引用:参考文献2)
対応する不具合と原因 不具合
  • 外壁のひび割れ・欠損(G-2)
  • 降雨による漏水(W-1)
原因
  • 柱・大梁・小梁・壁の配筋方法の不良(配筋位置のずれ等)
  • コンクリートの打込み・締固め、養生の不良
  • 工事中の一時的な過荷重の積載
  • 伸縮調整目地の入れ方の不良
  • ひび割れ誘発目地の入れ方の不良
適用条件
  • 専門家の調査により、欠損の原因となる問題が取り除かれていることを確認した場合に適用する。
  • ポリマーセメントモルタルは、1回に可能な塗り厚が少ないため、欠損が深い場合は、エポキシ樹脂モルタルが適する。(参考:参考文献2)
  • 鉄筋が露出していない場合に適用する。(参考:参考文献2)(※1)
  • 補修により美観上の問題が生じないことを確認した場合に限り適用する。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ひび割れ・欠損の状況を確認し、工事計画を立てる。
充填材、プライマーの選定を行う。
2.足場の設置
必要に応じて足場を設置し、外装仕上材の撤去時に発生する粉塵や吹付け材が隣地に飛ばないようその外回りに防塵シートを張る。
3.仕上材の撤去
外装仕上材を撤去し、コンクリート表面を露出させる。
4.欠損部の清掃
ぜい弱部をはつり取り、健全なコンクリート下地を出す。(参考:参考文献7)
5.プライマーの塗布
下地面に刷毛等を用いてプライマーを塗布する。(参考:参考文献4,参考文献7)
6.充填材の充填
エポキシ樹脂モルタル(JIS A6024)(またはポリマーセメントモルタル)を充填する。(※2)
ポリマーセメントモルタルの場合は、ダレが生じやすいので数層に分けて塗る必要がある。(参考:参考文献2)
7.仕上材の復旧
撤去した外装仕上材の復旧を行う。
8.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
防塵シートを取外し、足場を撤去の上、片付け・清掃を行う。
備考
(※1)
欠損部において鉄筋が露出している場合や、錆汁が生じて内部の鉄筋が腐食していることが懸念される場合は、「建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)」[4章8節鉄筋コンクリートの鉄筋腐食の補修]を参考にし鉄筋腐食に対する補修として材料及び工法について変更の必要性を検討する。また、欠損がさらに大規模な場合は、コンクリートの打ち直しを伴う構造的補強が必要となる。(引用:参考文献2)
(※2)
コンクリート打放し仕上げ外壁の欠損部の改修工法と適用上のチェックポイント(引用:参考文献2)
06_RC補-03_G-2-304_6_図_2023
 
  • コンクリート表面のはがれ、はく落の生じている欠損部の補修に関しては、建基法告示平12建告1399号「耐火構造の構造方法を定める件」を参照のこと。(参考:参考文献1)
  • エポキシ樹脂モルタルは、1回の塗り厚が大きくできるので施工性が良いが、セメント本来の成分とは異なるので外装仕上材との付着性について検討を加える必要がある。(参考:参考文献2,参考文献4)なお、エポキシ樹脂モルタルはそれ自体が可燃性材料なので、亀裂や軽微な欠損部に充填する場合等、使用量の少ない軽微な補修では使用できるが、かぶりコンクリートとして部材表面等に塗布するような使用方法はできない。(引用:参考文献1)
  • ポリマーセメントモルタルは、エポキシ樹脂モルタルに比べてダレが生じやすいので数層に分けて塗る必要があり、1回の塗厚は7㎜程度とする。また、通常のモルタルと同様で硬化収縮性が高く、施工条件によってはひび割れが発生しやすいので、適切な養生が必要である。(引用:参考文献2)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築工事監理指針 令和4年版(上巻)[p483](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一社)公共建築協会 (一社)公共建築協会
2 建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)[p351(図4.1.5),p368(表4.2.2),p380~383(4.2.4),p389~390(図4.2.6,図4.2.7),p519~p551(4章8節鉄筋コンクリートの鉄筋腐食の補修)](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
3 建築改修設計基準及び同解説【絶版】 平成11年版[p63](建設大臣官房官庁営繕部) (財)建築保全センター (財)建築保全センター
4 打放しコンクリート外壁の補修・改修技術[p116~118](建設大臣官房技術調査室) 外装仕上げおよび防水の補修・改修技術出版企画編集委員会
(財)日本建築センター
(財)建築保全センター
(財)日本建築センター
(財)建築保全センター
5 建築改修実務事典[p324] 建築改修実務事典編集委員会 (株)産業調査会事典出版センター
6 鉄筋コンクリート造建築物の耐久性調査・診断および補修指針(案)・同解説[p163~171] (社)日本建築学会 (社)日本建築学会
7 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版[p82,p86](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター