補修方法編

降雨による漏水 防水層平場の再施工(かぶせ工法・保護層、防水層非撤去)
(アスファルト防水・改質アスファルトシート防水)
W-1-324
RC造
工事概要

既存保護層、既存防水層を残したまま、その上から防水を施す工法である。

06_RC補-08_W-1-324_2_図防護材-改修前.jpg改修前(chord作成)
06_RC補-08_W-1-324_2_図防護材-改修後.jpg改修後(chord作成)
防水かぶせ工法・立上り乾式保護材撤去の例
06_RC補-08_W-1-324_2_図煉瓦-改修前.jpg改修前(chord作成)
06_RC補-08_W-1-324_2_図煉瓦-改修後.jpg改修後(chord作成)
防水かぶせ工法・立上りれんが等押さえ撤去の例
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
原因
  • 保護層・防水層の品質不良、施工不良
  • 防水下地のひび割れ
適用条件
  • 既存保護層に著しい損傷がない場合
  • 原状回復の必要がない場合
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場での原因調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
2.施工箇所の指定
保護層を残して問題ないか十分検討する。
立上り部、ドレン回りの取り合いを十分考慮する。
3.下地の補修及び下地調整
既存立上り防水層は、防水・端末の金物を含め全て撤去する。立上り保護は乾式工法(押出し成形セメント板等で保護する)の場合と、れんがまたはブロック押え等で行う場合があるが、いずれも撤去する。
表面に付着している土砂、こけ、草木及び脆弱なコンクリート表面部等を、けれん棒、サンダー、皮すき等を用いて除去する。その後、全面にデッキブラシがけを行い入念に清掃する。(参考:参考文献1)
既存保護層の浮き部分の除去跡や欠損部は、ポリマーセメントモルタル又はポリマーセメントペーストで補修する。
既存伸縮目地が突出している場合は、サンダー等で取り除き平坦にする。(参考:参考文献1)
既存保護層のモルタル仕上げに浮きがある場合は、エポキシ樹脂を注入又は既存のモルタルを撤去し、ポリマーセメントモルタルで補修する。(参考:参考文献1)
既存の保護コンクリートと防水層の間に水が溜まっていない事及び保護コンクリートの含有水分の有無等を確認する。確認方法は、水下部分の数箇所をはつって調査し、確認した後はコンクリートを打込み、平坦に仕上げる。なお、含有水分あるいは溜まり水がある場合は、対応策を設計担当者と協議して処理する。(参考:参考文献1)
4.改修防水層の施工
アスファルト防水または改質アスファルトシート防水の施工を行う。
5.立上り面の措置 RC造W-1-303、RC造W-1-310に準ずる。
6.ドレン回りの措置 RC造W-1-305、RC造W-1-320に準ずる。
7.既存目地の措置
目地が健全な状態にあるときはそのまま残す。
目地材のとび出し部分、目地に生育している草などは除去する。また、目地周辺保護層の欠損部等はポリマーセメントモルタルで補修しておく。
目地部分を通気溝として利用する場合は目地材をできるだけ除去し、改修防水層に適合した絶縁テープ・増張り材等で処置する。
8.脱気装置
露出防水で改修する時は脱気装置を設置する。現場の状況に応じて、予め機種の選択、取付個数・割付けを決定しておく。
9.最終確認
降雨時に浸水がないことを確認する。
備考
  • 既存保護層、防水層を残すのか撤去するのかの判断は、それぞれの劣化の程度、改修後の屋上の利用の有無、改修後の耐用年数、撤去に伴う経済性、環境問題、雨仕舞など多くの観点から総合的に検討して決定する必要がある。
  • 工事に伴う騒音(ドリル使用時)、臭気、振動、粉塵、降雨時における漏水、廃材の排出等が問題になる可能性があるため、工事の実施にあたっては、居住者に工事内容を十分に説明し、合意を得ることが重要である。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築改修工事監理指針 令和4年版 (上巻)[p161~171、p209~210](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
2 アスファルト防水による屋根改修工事 アスファルトルーフィング工業会 アスファルトルーフィング工業会