補修方法編

設備からの騒音、振動 給水管からの音・振動の伝搬を防止する措置
(水撃防止器の設置)
V-3-301
RC造
工事概要

給水管からのウォーターハンマー(水撃作用)音の発生防止を目的として、水撃防止器を設置する。


水撃防止器の設置例(chord作成)
補修を行った部分を赤色で示す。
対応する不具合と原因 不具合
  • 設備からの騒音、振動(給水管からの騒音及び振動)(V−3)
原因
  • 衛生器具類の選定不良 等
適用条件
  • 水撃防止器等の設置の施工スペースが確保されていること。
  • 騒音の原因がウォーターハンマー(水撃作用)によること。
工事手順の例
共用給水立管に水撃防止器を設置する例を示す。
1.事前調査
当事者へのヒアリング、現場での騒音の発生状況の確認及び必要に応じて騒音測定や配管圧力の測定を行い、現場での原因調査を行う。
原則として住戸内の系統ごとに発生の有無の確認を行う。
不具合の状況から対策を講じる範囲を確認し、工事計画を立てる。
2.ウォーターハンマー(水撃作用)音の発生を防止する工法及び製品の選定
事前調査で得られた結果に応じて、適用条件を満たし、ウォーターハンマー(水撃作用)音の発生を防止する工法及び製品を選定する。
3.水撃防止器の設置 水撃防止器の設置方法は各製造所の仕様による。
共用給水管に水撃防止器を設置する。
4.水圧・通水試験等
水圧・通水試験を行い、水漏れがないことを確認する。
給水ポンプを運転し、騒音振動がないことを確認する。
5.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
養生等を撤去の上、片付け、清掃を行う。
原則として補修前と補修後の測定結果を比較し、補修措置の性能向上効果の確認を行う。
備考
  • 遮音補修は、許容できる騒音の程度には個人差があることに十分に注意して行う必要がある。少しでも音が聞こえている以上、うるさいと評価される可能性を持っている。
    したがって、遮音補修によってある一定の遮音性能を確保すれば万全ということではなく、ユーザーの要求や対象空間の音環境を十分調査する必要があるとともに、補修前に居住者等に十分に説明し、現状に対する騒音の低減の程度を理解してもらうことが重要である。(参考:参考文献1)
  • ウォーターハンマー(水撃作用)発生の原因としては管内流速や管路の形状(曲がりが多い)などの他、支持の遊びや弁の急閉鎖・急解放、高層建物での高位での長い横引き管などが原因となるものがあり、状況に応じて適切な対策を施す必要がある。(参考:参考文献3)
  • 原因が給水機器にある場合は、住戸のメーターボックス内に水撃防止器を設置する場合や個別給水機器の直近に水撃防止器を設置する場合もある。
          
    住戸のメーターボックス内に水撃防止器を設置した例(chord作成)
    補修を行った部分を赤色で示す。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 部位別・図解 木造住宅の防音リフォームマニュアル [p140 7.3] (財)日本住宅リフォームセンター(現・(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター) (株)彰国社
2 空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集 {96.9.18-9.20(名古屋)}[p1313-1316] 伊藤剛(㈱大林組)他 (公社)空気調和・衛生工学会
3 建築設備の「なぜ」がわかるトラブル解決マニュアル[p166 表1] (一社)建築設備技術者協会 (株)オーム社