補修方法編

外壁のひび割れ・欠損 打直し工法 G-2-306
RC造
工事概要

豆板、コールドジョイント等、コンクリートの欠損部分や劣化した部分をはつり取り、再度型枠を使用してコンクリートを打直す工法である。


鉄筋を切断した場合
(引用:参考文献2一部加筆)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 外壁の傾斜(G-1)
  • 外壁のひび割れ・欠損(G-2)
  • 内壁の傾斜(N-1)
  • 降雨による漏水(W-1)
  • 床振動(V-1)
  • 水平振動(V-2)
原因
  • コンクリートの打込み・締固め、養生の不良
  • 工事中の一時的な過荷重の積載
  • スラブ・柱・梁・壁の配筋方法の不良(配筋位置のずれ等)
  • 外壁のひび割れ・欠損
適用条件
  • 充填工法で処理できない大きな欠損に適用する工法である。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査により適用条件を満たしていることを確認する。
ひび割れ・欠損の状況を確認し、工事計画を立てる。
2.足場の設置
必要に応じて足場を設置する。
3.仕上材等の撤去
仕上材等(外装仕上材)を撤去し、コンクリート表面を露出させる。
4.欠損部の清掃(参考:参考文献1、3)
ぜい弱部をはつり取り、健全なコンクリート下地を出す。(参考:参考文献1)
はつり取る際は、鉄筋を傷つけないよう慎重に行う。
鉄筋が露出している場合は、さびを除去し、防せい処理を施す。鉄筋の露出はないが、さび汁等で発せいが推測される場合は、コンクリートをはつり取って鉄筋を露出させ、さびを除去する。(参考:参考文献1)
5.型枠の組立て
コンクリート投入口を設けた型枠を打込み部位に設ける。
6.コンクリートの打込み・締固め・養生
コンクリートの打込み・締固め
  • 数量が多い場合は、生コンクリートを使用する。少ない場合は現場調合コンクリートを使用する。
養生
  • 1週間以上コンクリートを養生する。(寒冷期においては、コンクリートを寒気から保護し、打込み後5日間以上はコンクリートを2℃以上に保つこと。)
7.型枠の取り外し
コンクリート強度を確認し、型枠を解体・撤去する。
コンクリート打込み口の不要な突出部を斫り取り整形する。
8.仕上材等の復旧
撤去した仕上材等の復旧を行う。
9.最終確認
工事全体の仕上がりを確認する。
足場を撤去のうえ、片付け・清掃を行う。
備考
  • 打込みするコンクリートは躯体と同じ仕様のコンクリートで、建物の設計基準強度以上であること。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 鉄筋コンクリート造建築物の耐久性向上技術
[p176~179](建設大臣官房技術調査室)
(財)国土開発技術研究センター 建築物耐久性向上技術普及委員会 技報堂出版(株)
2 2015年改訂版 震災建築物の被災度区分判定基準および
復旧技術指針[鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造編][pⅡ-110](国土交通省国土技術政策総合研究所,国立研究開発法人建築研究所)
国土交通省住宅局建築指導課 編集協力 (一財)日本建築防災協会
建築工事監理指針 令和4年版(上巻)[p480](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一社)公共建築協会 (一社)公共建築協会
建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)[p519~p551](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター