補修方法編

床のたわみ スラブ上面へのかすがい筋埋め込み F-2-301
RC造
工事概要
  • ひび割れ強度を改善するために、ひび割れに樹脂注入し補修した後、端部RC上面にひび割れが進行しないように新たな鉄筋(以下、かすがい筋と呼ぶ)を埋設する工法である。
  • 床のたわみ修正が必要な場合は、セルフレベリング材による床の補修(RC造F-2-305)による。

  

06_RC補-02_F-2-301_2_図.jpg※本ディテールは一例である
スラブ端部すがい筋埋め込みの参考(chord作成)
対応する不具合と原因 不具合
  • 床の傾斜(F-1)
  • 床のたわみ(F-2)
  • 床振動(V-1)
原因
  • スラブの配筋方法の不良(配筋位置のずれ等)
  • コンクリートの打込み・締固めの不良、養生の不良
  • 工事中の一時的な過荷重の積載
適用条件
  • 補修工事に伴う荷重の変動を考慮した長期荷重によって既存の全ての架構に生ずる力が長期許容応力度内に収まっており、原則として躯体コンクリートに不良箇所がない場合に適用が可能である。
  • 小梁設置等下階住戸側からの補修工事ができない場合にも適用できる。
工事手順の例
1.事前調査
現場調査等により適用条件を満たしていることを確認する。鉄筋を切断しないように、鉄筋位置と深さの調査も行う。
2.準備
足場、仮囲いを設置する。
器材・資材の搬入、仮設電源を準備する。
3.仕上材の撤去・養生
当該住戸の床、内壁、及び下階住戸の床、内壁、天井の内装仕上材・サッシ等を撤去し、内装部分に対する養生を行う。
躯体の実測と墨出しをする。
4.ひび割れ補修
スラブのたわみにより生じたひび割れをエポキシ樹脂注入工法で補修する。(RC造G-2-301 参照)
5.かすがい筋の増設
スラブ端部上面に新たな鉄筋を埋設するための溝を、鉄筋を切断しないように設ける。
埋設するかすがい筋の端部には爪をつけてアンカー孔に差し込み、溝に密着させるように配筋する。
配筋後、かすがい筋およびスラブ面にプライマーを幅約10㎝塗布した後、軽量骨材入りエポキシモルタルでかすがい筋とスラブ面の間隔を埋めながらかすがい筋を被覆し、幅約4㎝、高さ2.5㎝程度に仕上げる。

06_RC補-02_F-2-301_5_5_図上.jpg
スラブ上面鉄筋の埋設例(引用:参考文献1)

06_RC補-02_F-2-301_5_5_図下.jpg
スラブ端部の鉄筋の埋設方法(参考図)(chord作成)
6.内装仕上材等の復旧
床のレベル調整を行ない、撤去した内装仕上材(床、壁、天井)、サッシ等を復旧する。
7.最終確認
水準器を用いて床仕上げ面の水準を確認する。
足場を撤去のうえ、片付け・清掃を行う。
備考
  • 本施工に伴い住戸スラブ回りの電気、給排水設備の切断、再接続工事が発生する場合がある。
  • 平13国交告1372号「建築基準法施行令第79条第1項の規定を適用しない鉄筋コンクリート造の部材及び同令第79条の3第1項の規定を適用しない鉄骨鉄筋コンクリート造の部材の構造方法を定める件」に適合すること。
  • かすがい筋はさびが発生しないように配慮する。

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築技術1994年12月号[p96~98] 浅井浩一 (株)建築技術
2 コンクリート診断技術’22 基礎編[p314] (公社)日本コンクリート工学会 (公社)日本コンクリート工学会