補修方法編

設備からの漏水 排水配管を耐食性の良い配管に取替え W-2-302
RC造
工事概要

排水配管を耐食性の良い配管に取り替える。


排水配管の腐食例(引用:参考文献1)

鋼管類など金属管・継手を使用の場合は、シンク直下のエルボ部の腐食は早い。

対応する不具合と原因 不具合
  • 設備からの漏水(W-2)
原因
  • 管材・継手等の種類、規格の不適、品質の不良、腐食対策不良
適用条件
  • 新規配管が納まるスペースがあり、適正な勾配がとれること。(特に排水・通気用耐火二層管を用いる場合。)
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場の原因調査により、上述の適用条件を満たしていることを確認する。
配管が床上か床下かを判断し、工事の方法、範囲を確定する。(本項では床上配管の場合を示す。)
2.当該排水管回りの内装の撤去
通常はキッチン下とその周辺を開口すればよいが、横引き管も腐食、詰まりが生じている可能性が高い場合は、立て管までの床を外すことになる。
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
3.腐食した管・継手の切断・撤去
4.新規配管の接続
住戸内の排水であれば硬質塩化ビニル管(VP)通常50mm(防火区画貫通部は防火区画貫通処理をする。)でよい。継手も同種の材料で、接着工法とする。共用の排水立て管が鋳鉄製や排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管などの場合、排水鋼管用可とう継手(MDジョイント)などを用いて接合する。(参考:参考文献2,3)
5.排水試験
  • 管の固定状況を確認の上、排水通水試験(満水試験)を行い、水漏れがないことを確認する。
6.内装仕上げ復旧
撤去した内装仕上材を復旧する。
  • 点検口が必要な箇所にない場合は設ける。
足場、養生等の撤去を行う。
7.片付け、清掃
備考 【留意事項】
  • 一般に集合住宅では、共用部分と専有部分との境界で工事範囲が分割されるため、給・排水配管とも異なる材種の管材を接続することが多い。したがって、漏水の位置、規模、施工性等により、補修条件が大きく変わる。
  • 最近では、本例のように住戸内の雑排水管に鋼管類を使用することはあまりない。硬質塩化ビニル管(排水・通気用耐火二層管を含む)等が多いが、ライニング鋼管類も用いられている。
  • 台所流し排水配管に、食器洗い乾燥機などからの高温排水が流される可能性のある場合は、耐熱性硬質塩化ビニル管・同排水用継手などを用いるなど耐熱性及び熱伸縮処理を考慮した配管とする。
  • 専有部の排水管は床スラブ下(下階住戸内)へ一旦貫通させてから横引きにしている場合もある。この場合、工事に際して下階の居住者の承諾が必要となる。
【改修に必要な機材】
養生資材(シート・ウエスなど)
配管替え用配管資材(管・継手類)、支持・固定具類および保温材
配管施工用工具類
内装・床・壁工事用工具類及び復旧用資材

【改修に必要な専門技術者】
給排水衛生配管施工専門技術者
内装工事専門業者

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 管理組合向け・住戸リフォーム技術の基礎知識
[p83](絶版)
石川和彦・河合春樹 日本増改築産業協議会
2 現場で役立つ設備配管の診断と改修読本
[p11](絶版)
日本建築設備診断機構 (株)オーム社
3 設備配管の診断・改修実務 [p127] 日本建築設備診断機構 (株)オーム社