補修方法編

降雨による漏水 屋上開口部回りのシーリング材の打替え W-1-307
RC造
工事概要

トップライト等の既存のシーリング材を撤去し、新しいシーリング材に打替える。


06_RC補-08_W-1-307_2_図_2021トップライトのシーリング材の劣化状況の例
(引用:参考文献1)
対応する不具合と原因 不具合
  • 降雨による漏水(W-1)
原因
  • 関連部位の防水処理不良
適用条件
  • ブリッジ工法の場合には美観上許容される部分にのみ適用可能である。
工事手順の例
1.事前調査
当事者からのヒアリングや現場での原因調査により、適用条件を満たしていることを確認する。
打替えるシーリング材の適合性、既存のシーリング材との相性等を確認の上、使用材料を決定する。
必要に応じて足場を設置し、養生を行う。
2.既存のシーリング材の撤去、周辺清掃
既存のシーリング材を撤去する。
  • 付着力の強い部分あるいは撤去が完全にできない隅部分は、はがさなくてもよい。
汚れ・錆等はケレンで落とし充分清掃する。
3.シーリング材の打替え
シーリング材を充填する。
  • 目地幅が広げられない場合や本事例のように既存のシーリング材が充分撤去できない場合は、被着体間に橋をかけた状態にシーリング材を既存目地にかぶせてシールするブリッジ工法を採用する。(※1)
  • 入隅部は三角でなく盛り上げるくらいにする。

    トップライトのシーリング詳細例(引用:参考文献1)
    (上記劣化状況の例の画像の竪枠断面を示す)
  • 内部結露受部のジョイント等でもシーリングしておく。
4.最終確認
降雨時に浸水がないことを確認する。
足場、養生等の撤去を行う。
備考

(※1)既設シーリングの補修方法としては以下に示す3工法が代表的である。

シーリング改修工法の種類と特徴(引用:参考文献2一部加筆)
改修工法の種類 概要と特徴
 シーリング
 再充填工法
  • 既設シーリング材除去の上、同種又は異種のシーリング材を再充填する工法
  • 最も一般的に行われている。
 拡幅シーリング
 再充填工法
  • 目地形状、被着体強度あるいは被着面の状態の改善を要する場合に、目地拡幅(幅及び深さ)を行った後、同種又は異種のシーリング材を再充填する工法
  • 既設シーリング材に油性コーキング材が用いられている等、被着面で接着阻害要因がある場合に行われる。
 ブリッジ工法
  • 目地形状が不備で、既設シーリング材が劣化により破損して再充填のみでは再発が懸念され、加えて拡幅充填工法が採用できない場合に用いる工法で、被着体間に橋をかけた状態にシーリング材を重ねて施す。
  • 美観上許容されるか否かの検討を要する。

・上記は「改修標仕」に規定している工法

シーリング改修工法の例(引用:参考文献3)

「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」


 シーリング再充填工法の例          拡幅シーリング再充填工法の例


「転載の承諾を得られなかった箇所に網掛けをしております。」
ブリッジ工法の例


漏水に直結するシーリング材の劣化・異変のほとんどは、被着体とのはく離、又は、シーリング材の破断である。いずれもシーリング再充填工法、あるいは拡幅シーリング再充填工法で元の状態にほぼ復旧できる。また、目地の形状変更ができない場合等にブリッジ工法が適用される。ただし、美観上影響を及ぼす場合があるため、補修工事に際して居住者の了解を得る必要がある。
(シーリング再充填工法は、RC造Wー1ー704を参照。)

参考文献

書名[該当箇所](監修) 編著者 発行所
1 建築技術1996年6月号[p126] 柿崎隆志 (株)建築技術
2 建築改修工事監理指針 令和4年版(上巻)[p289(表3.7.2)](国土交通省大臣官房官庁営繕部) (一財)建築保全センター (一財)建築保全センター
3 建築保全標準・同解説 JAMS4-RC 補修・改修設計規準-鉄筋コンクリート造建築物[p108~p110、p109 解説図 4.25] (一社)日本建築学会 (一社)日本建築学会